『適時・適切』の乱用 ~松下市長と執行部は「自治基本条例」に違反!?


 

 最近、議員、特に我々自由民主・市民クラブの議員からの質問に対して、松下市長と執行部から『適時・適切に対応します』という言葉を耳にする機会が多く、私は、腑に落ちないことが多々ありました。


 何故なら、『適時・適切』と発言した後に、具体的に「いつ」、「どうする」という説明を受けたことがなかったためです。


 

 令和4年9月1日から令和4年度第3回定例会が始まり、議員による一般質問が行われました。私は、使われなければよいな、という希望を持ちながら、『適時・適切』という言葉をどのくらい使うかについて注目していました。

 結果は、『適時・適切に対応します』を繰り返し発言する市長を確認するというものでした。


 『適時・適切』については、「自治基本条例」の第3条に以下のような記載があります。松下市長は、この第3条にある『適時』『適切』を頻繁に引用しているのです(太字は筆者)。

第3条 市民自治の推進は、市が、市政に関する情報(以下この条において「市政情報」という。)を適時に、かつ、適切な方法により、市民に対して分かりやすく提供するよう努めることにより、市と市民とが市政情報を共有することができるようにすることを旨として行われるものとする。

 前述しましたが、松下市長は『適時・適切』と発言した後に、「いつが適当な時期」であり、「どのような方法が適切」と考えているのか説明したことはありません。

 そもそも、この第3条が定められた主旨は、
・「市民自治の推進」には
・「市政に関する情報を市民に対して分かりやすく提供する」ことにより
・「市と市民とが情報共有する」ことが必要
というところにあります。

 松下市長は、この条例の主旨を曲解し、答弁で都合が悪くなると、『適宜・適切に対応します』と発言して説明を終わらせようとしていると考えます。

 このような松下市長の対応は、「自治基本条例」第3条の主旨に反しているのではないでしょうか?
 これでは条例違反であると言わざるを得ません。


 「自治基本条例」には、他にも以下のような定めがあります(下線は筆者)。
  *数多いので、すべてを見る必要はございません。

第3条の2 市民自治の推進は、市が、市民の市政に参加する権利を保障するとともに、市政情報の共有を通じて、市民が市政に参加する機会を保障することを旨として行われるものとする

第3条の3 市民自治の推進は、市民、市議会議員(以下「議員」という。)、市長等及び市職員(以下「職員」という。)のみならず武蔵野市に関わる様々な主体が市政情報を共有して市政に参加し、協働して公共的課題の解決を図ることを旨として行われるものとする。
第3条の4 市長は、市民、議員及び職員の参加のもとに、市政に関する長期的かつ基本的な計画を策定することにより、武蔵野市の目指すべき将来像を明らかにするとともに、政策資源の有効活用を図り、もって総合的かつ計画的に市政を運営するものとする。
第5条の3 議会は、総合的かつ計画的な市政運営が行われているかどうか及び市民の意思が市政に適切に反映されているかどうかについて、市長等の事務の執行状況の監視及び評価をするとともに、自らも政策の立案、提言等を行うものとする。
第5条の4 議会は、市民参加の前提となる情報共有を図るため、何人に対しても開かれた議会の運営に努めなければならない。
第7条 市長は、武蔵野市の代表者として、市政を総合的に調整し、公正かつ誠実に運営しなければならない。
第7条の3 市長等は、その保有する情報を分かりやすく提供するよう努めることにより、市民との情報共有を図らなければならない
第9条 市は、市民の市政への参加を促進するため、市民の知る権利について保障するものとする。
第10条 市は、市民の市政への参加を促進するため、市政に関する情報を適時に、かつ、適切な方法で公開するとともに、市民に対して分かりやすく提供するよう努めなければならない。
第12条 市は、政策形成の過程を明らかにするとともに、政策、施策、事務事業等(以下「政策等」という。)の立案、決定、実施及び評価の各段階において、その内容について市民に対して分かりやすく説明するよう努めなければならない
第21条 議会と市長等とは、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにし、合意形成に向けて審議を尽くすよう努めなければならない
第21条の2 市長等は、市政運営について議会との情報共有を図るため、議会に対して、適切で分かりやすい資料を提供し、説明し、又は報告をするよう努めるものとする。

  

 ご覧いただいたとおり、上記の「自治基本条例」の各条・各項において、自治基本条例の原則である「市民参加」、「情報共有」、「協働」を遵守するように定められています。

 市長は、『適時・適切』という言葉を都合が悪いときに切り取って、自治基本条例の主旨に反する形で使っています。

 民間企業において『適時・適切に対応します』と言った場合は、間違いなく「いつ、どのようにするのか、明確に回答するように」と言われます。民間企業での勤務経験がある私は、そもそもそのような発言をする発想はありませんでした。

 松下市政における現在の武蔵野市役所内では許されるのかもしれません。しかし、少なくとも、市民や議会に対する説明では、頻繁に『適時・適切に対応します』という言葉は使うべきではないと思います

 「自治基本条例」の本来の主旨を遵守してほしいと思います。

 皆様は『適時・適切』の使い方についてどうお考えですか?