今後の集会のご案内をさせていただきます。
(注)変更等がある場合は、こちらを随時更新してまいります。
【令和5年4月1日(土)】
場所 武蔵野プレイス4階フォーラム
時間 18:30~
問い合わせ先 小林まさよし 070-8374-6080
未来を創る!未来を守る!
本年は大変お世話になりました。
2022年も残りわずかとなりました。
議員になって約1年3カ月が経過しました。支援者の皆様の応援の声を励みに、活動させていただいています。日頃のご支援、本当にありがとうございます。
当初に予想した通り、武蔵野市には多くの課題が山積していると感じています。以下の通り、この1年間と3か月を振り返ってみました。
《住民投票条例について》
最大の出来事だったと言えるのは昨年末の「住民投票条例案」です。市内に分断と混乱が生じ、マスコミなどにも多く取り上げられました。
「住民投票条例案」については、市民不参加など様々な論点がありましたが、5000筆を超える反対の署名にも耳を貸すことなく、一部の人にとって都合のよい「イデオロギー」をもとに、市長が政策が強引に進められようとしたことが最大の問題点だと考えます。
昨年の11月下旬から1カ月間、ほぼ毎日街頭で活動をした際に強く実感したのは、市民の皆様からの多くの反対の声です。街頭活動においては「頑張ってください」、「止めてください」という応援の声もいただきましたが、頷く方や目で賛同していることを訴える方など、市民の多くの方が問題意識を持っていると感じました。決して忘れることのできない経験です。
この「住民投票条例案」については、当初、反対の意思を示していたのは自由民主市民クラブのみでした。しかし、多くの市民の皆様の声が最終的に議会を動かし、否決することができました。
問題意識を持ち「住民投票条例案」を否決すべく、ご協力いただいた皆様、反対の声や意思を示してくださった皆様に心から感謝を申し上げます。
市民の皆様の声を聞き、市民の皆様が本当に必要な政策を前に進めることが求められていることを改めて学ぶことができました。
《駐輪場売却問題について》
吉祥寺駅北口の駐輪場売却問題は、まだ解決していない大きな問題です。
この問題については、
①市民不参加・情報非開示
②違法な手続きによる市有地売却
③不当な評価
が挙げられます。
この問題を見過ごしてはならないとして、上記の論点を中心に土屋正忠元市長や有志の議員と共に住民監査請求を行い、現在は住民訴訟に至っています。
駐輪場売却問題の詳細については、これまでブログを通じてご報告しています。こちらをクリックしてご覧いただければ幸いです。
《隔地駐輪に関する市の対応について》
「駐輪場売却問題」に関連して、新たに「隔地駐輪」に関する問題が発覚しました。
武蔵野市で一定規模のビルを建設する際には、駐輪場を設置する義務が「条例」によって課せられています。ユニクロ、LABI、ヨドバシカメラなどは、この条例を遵守して建物の地下や敷地内に駐輪場を設置しています。
駐輪場を購入した企業も、当然のことながら新たに建設するビルに駐輪場を設置しなくてはなりません。当該企業は、当初、ビルのテラスに駐輪場を設置すると計画を立てていました。しかし、この計画については、市民の皆様から実用性などについて反対の声が上がり実現しませんでした。
その結果、当該企業が取った選択は、「隔地駐輪」を設置するというものです。駐輪場は、原則として建物・敷地内に設置するとされていますが、当該企業は、「資材高騰により予算上厳しい等」を理由に、建設する建物から350mも離れたところに設置するという方針を打ち出したのです。
この「隔地駐輪」については、「条例」を実施するための手続きを定めた「規則」で規定されています。2022年10月21日にこの「規則」が変更されるまで建物から駐輪場からの距離は「100m以内」と定められていました。
しかし、市長は2022年9月26日、つまり、「規則」を変更する一か月前に、駐輪場を売却した企業に対して「350m離れた場所での駐輪場設置」を認めてしまったのです。
この市長並びに市の対応については、
・「100m以内」と定められた条例・規則に違反すること
・これまで条例・規則を遵守した事業者に対して不平等・不公正であること
・議会にも市民にも報告しないという情報非開示・隠ぺい行為
・規則改正について本来あるべき手続きを踏んでいないといこと
・自動車の駐車場に関する考え方を、自転車の駐輪場に当てはめたこと
・自転車法の趣旨に従う対応でないこと
・自転車等駐車対策協議会でこの重要な事項が調査審議がされていないのにも関わらず規則を変更したこと
などの数多くの問題が挙げられます。
これらについては、市政レポートNo.12(「隔地駐輪について」)をご覧ください(こちらをクリック)
「駐輪場売却問題」や「隔地駐輪問題」については、法の解釈を捻じ曲げてでも、売却先企業を優先する市政運営に対して、強い疑問を持たざるを得ません。不自然、不可解、不合理な市政運営が行われているのです。
松下市長は「一体誰のために働いているのか?」という疑問も生じます。
《他にも課題が山積する武蔵野市政》
ここまで「住民投票条例案」や「駐輪場関連問題」についてご報告してきましたが、武蔵野市には、以下のような課題も山積しており、未来の武蔵野市に強い危機感を抱かざるを得ない状況です。(以下、クリックしてご覧ください)
・なぜか武蔵野市だけが30年後も右肩上がりに人口が増加するという都合の良い将来人口推計
・他の自治体よりも多額の税金投入を必要とする公共施設等の再整備費用(30年間で2966億円)
現市政が進めるような一部の人に都合のよい市政運営ではなく、市民の皆様に本当に必要な政策が進められるよう、これからも議員として活動してまいります。
皆様には、来年も変わらぬご支援等を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、皆様にとって2023年が素晴らしい年になりますようにお祈り申し上げます。
武蔵野市において一定規模の施設を建設する際には、その施設を利用者のために駐輪場を設置しなければならないことが条例(*)で定められています。
当然のことながら、吉祥寺北口にあった駐輪場の売却先である企業Xも新たに建設するビルには、駐輪場を設置しなければなりません。
ご存じのとおり、ユニクロは地下に、ヨドバシカメラは敷地内に駐輪場を設置しています。
ここで東京都豊島区の駐輪場の附置義務制度を見てみましょう。豊島区では次のように規定しています。
原則は建物内若しくは敷地内に駐輪場を設置することが求められており、やむを得ない場合にのみ「隔地駐輪(離れた場所に設置する駐輪場)」を認めるという豊島区の考え方が一般的です。
武蔵野市でも、多くの事業者の方には建物内か敷地内に設置していただいています。仮に、「隔地駐輪」にする場合は、条例・施行規則において『おおむね100m以内』と定めています。
ところが、企業Xは『建築予定の建物から350mも離れたところ』に駐輪場を設置しようとしており、市長がそれを認める決裁しています。私は、この武蔵野市の対応は「条例・施行規則違反」だと考えます。
図表1:企業Xの隔地駐輪場の設置場所
さらに、「350m」を認めた法的根拠に疑問が残ります。
この点については情報開示請求した資料によると、
・東京都駐車場条例の第18条第1項(以下、「駐車場条例」)
の解説(考え方)を準用していることが確認されました。
この条項では、「おおむね300m以内の場所」と定められています。武蔵野市は、「駐車場条例」が「300m以内」としているから、隔地駐輪場の設置も「300m」で問題ないというのです。
(注)この隔地駐輪の対応方針についての市長決裁は令和4年5月31日に行われていますが、市民の代表で構成される議会への報告は一切ありません。
しかし問題は、この「駐車場条例」が自動車の『駐車場』を対象にした条例であることです。
自転車の『駐輪場』を対象にしたものではありません。武蔵野市の担当者もそのことを認識していました。
今回の企業Xの隔地駐輪場を350m離れたところに設置することについて、自動車を対象とした「駐車場条例」の考え方を準用するというのは、そもそもの法の主旨から逸脱していると言わざるを得ません。
非常に残念な武蔵野市の対応です。なぜ法の解釈を捻じ曲げてまで、企業Xを特別扱いするのでしょうか?本当に不自然、不可解です。
いずれにせよ、今回の隔地駐輪に対する武蔵野市の対応は、憲法をはじめとする様々な法令等に違反する可能性があると考えられます。
このような恣意的かつ不合理な行政権の行使を認めるわけにはいきません。
これからもこの市長決裁を破棄することを強く要望するとともに、今後もこの問題についても厳しく追及してまいりたいと考えています。
令和4年第3回定例会が9月28日に閉会しました。
今回も「一般質問」、「各委員会」、「決算委員会」を通じて、武蔵野市政における様々な論点が第3回定例会にて議論されました。
この第3回会定例会におけるトピックの1つは、私が所属する「自由民主・市民クラブ」が決算委員会での議論を通じて「令和3年度武蔵野市決算」を否認したことです。
決算委員会では、令和3年度に武蔵野市で行われた一般会計と特別会計の事業について、審査されました。
自由民主・市民クラブが「令和3年度武蔵野市決算」を否認した理由としては、
・分断と混乱を招いた「住民投票条例案」や説明会の翌日に売却された「吉祥寺駅北口駐輪場問題」など、市民不参加、周知不足の状態で事業が前に進められた結果、深刻な問題となったこと
・アストラゼネカ社のワクチンについて12520回分の大量破棄があったこと
・川上村にある自然の村の設備整備が十分でなかったこと
などが挙げられます。
なお、「令和3年度武蔵野市決算」は、最終的には、「自由民主・市民クラブ」のほかに2名の議員が否認しましたが、賛成多数で可決されてしまいました。
以下では、今回の定例会において武蔵野市議会議員として特に重要だと感じた3つのテーマについて、ご報告いたします。
この定例会においては、令和4年度補正予算が議案としても上程されましたが、燃料費高騰、資材費高騰、食材費高騰などによる『物価上昇の顕在化』が明らかになり、予算の増額が行われたことが今回の定例会の重要なテーマの1つになったと考えらえれます。
ご承知の通り、ウクライナに対するロシアの侵攻や円安に起因して、生活に身近な食品価格やエネルギー価格の物価上昇が確認されています。皆様の生活にもすでに物価上昇の影響が出ていると思われます。
また、鋼材価格の高騰や円安によって建設資材は大きく上昇。建設物価調査会の調査によると、2011年を100とした建設資材物価指数(建設総合)は、2021年当初は110程度の水準でしたが、2022年8月には135近辺まで上昇しています(図表1)。
■図表1:建設費指数(出所:建設物価調査会)
武蔵野市では、令和4年3月に公表された「第2期公共施設等総合管理計画」によると、この先30年間で2,966億円の事業経費を予定しています(図表2)。これは、直近の資材高騰が織り込まれていない状態で策定された計画ですが、このままでは建設費用の増加によって武蔵野市の財政的な負担が大きく増えるのは必至です。
■図表2:公共施設等の再整備費用の中長期的に見通し(30年間)(出所:武蔵野市)
また、ここで注目すべき点は、一人当たりの床面積でみると、武蔵野市は近隣自治体の1.4倍の公共施設等を有していることです。
もともと公共施設等の再整備費用による財政的な負担が多い武蔵野市は、物価上昇による影響を含めて、今後の公共施設関連を中心とした「歳出の在り方」について「危機感」を持ち、抜本的に見直す必要があると考えています(図表3)。
■図表3:類似自治体の市民一人当たり床面積の状況(出所:武蔵野市資料より作成)
なお、関連するブログは以下の通りとなっています。
・建設費2割高騰による武蔵野市財政の影響~保健センター増築関連計画を含めた公共施設等の建設計画を見直す必要はないのか⁉
令和4年9月7日の総務委員会において、武蔵野市の将来人口推計(以下「人口推計」)の速報版が公表されました。その速報版では、武蔵野市の人口が現在の14.8万人から2052年に16.1万人に増加するという内容になっていました。
私は、この「右肩上がりの人口推計」は、今回の定例会におけるとても重要なテーマの一つだと考えています。
■図表4:武蔵野市公表の将来人口推計(出所:武蔵野市)
この推計値は、日本や東京都の人口が減少する中で、唯一、武蔵野市だけ人口が増加するというものです。少子高齢化が予想される中で、武蔵野市だけが人口増加する?という強い違和感を持つ推計結果です(図表5)。
■図表5:日本、東京都、武蔵野市の人口推計(2020年を100とした場合)
武蔵野市は、公共施設等の再整備費用に多額の税金が必要となるだけでなく、外郭団体を含めた外部機関へ多額の税金を投入するなど高コスト化が進んでいます。
問題は、実際の人口がこの将来人口推計を下回る場合に税収が想定より少なくなることです。一方、人件費や公共施設の再整備のようなコストは急には削減できません。その結果として、未来の武蔵野市民に多額の負担をお願いすることになってしまう危険性が懸念されます。
私は、人口動向や建設費用高騰などの影響を踏まえたうえで未来を見据えると、現在の武蔵野市に40億円の税金を投入して、保健センターを増築する財政的な余裕はないと考えています。
執行部の方には、右肩上がりの将来人口推計ではなく、これまで以上の「危機感」を持って武蔵野市の未来を見据えた将来人口推計を策定していただくことをお願いしたいと思います。
この件の詳細は下記のブログに書いています。そちらもぜひご覧ください。
・武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点:その①~人口推計の重要性とその特徴
・武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点:その②~武蔵野市の人口推計の推計方法と問題点
吉祥寺駅北口駐輪場売却問題については、土屋正忠元武蔵野市長が松下玲子武蔵野市長に対して9億9,870万円の損害賠償請求を求める住民訴訟を起こしていますが、この定例会が開催されている間に、以下の2つのことが明らかになりました。
①武蔵野市が駐輪場を売却した先である企業Xの経営権を、中国・香港の投資ファンドがTOB(株式公開買付)にて取得する動きがあることを企業X及び投資ファンドが公表し、日経新聞などでも報道。
②企業Xが購入した駐輪場跡地に建設予定の施設に必要な駐輪場の付置義務について、350m離れた場所に「隔地駐輪場」を設置する方針であることが明らかになりました。そして、市長が場所と仕様については決裁したことが確認されています。
しかしながら、後述するとおり、350m離れたところに「隔地駐輪場」を設置することは、条例にある「付置義務」(*)に違反、つまり、『条例違反』だと私は考えています。
(*)「付置義務」とは、一定規模以上の施設を新築又は増築する場合には、「自転車駐車場の設置」を条例で義務付けていることです。
①については、そもそも市が企業Xと結んだ土地売買契約書には、「公共貢献」などが売払い要件にて記されています。要は、「市有地を売却するけれど、企業Xは施設の建設と運営において公共貢献に資する対応をする」ということが約束されていたのです。
しかし、経営権移転によってこの売払い要件が遵守されない可能性が高まったことが議会にて指摘されました。また、この企業Xは「(駐輪場跡地に)建築した施設が転売されることは否定できない」という主旨の発言をしていたことが判明しました。
武蔵野市は、「市の利益の増進」に当たるとして、武蔵野市の貴重な市有地を入札することなく「随意契約にて代替地として売却」したのですが、この土地取引によって、市の主張する「市の利益の増進」があるのか強い疑問を持たざるを得ません。
②については、「武蔵野市の武蔵野市自転車等の適正利用及び放置防止に関する条例及び施行規則」にて、新たに建設する施設等について駐輪場の「付置義務」が定められています。
この条例設置の目的は、条例第1条にあるように「本市における自転車等の利用環境の整備、安全利用の促進及び放置防止に関する必要な事を定めることにより、・・・(中略)・・・安全で快適な市民生活の実現に寄与することを目的とする」というものです。
そして、そのためには隔地駐輪場を設置する場合は、施行規則第2条第2項で当該施設の敷地に到達するために歩行する距離が『100m以内』であることと定めています。
しかし、今回明らかになった企業Xによる施設から『350m』離れたところに隔地駐輪場を設置することは明らかに『条例違反』だと考えられます。
もし、『350m』離れたところに隔地駐輪場を設置するのならば、まず条例を改正する必要があり、現在の条例では認められるものではありません。法的根拠は確認されていないのです。
また、武蔵野市が『350m』離れたところに隔地駐輪場を設置することを認める行為は、条例を曲解させて企業Xのために意図的に都合の良い解釈をしているとしか考えられません。これは、『裁量権の逸脱、或いは濫用』に当たると考えられます。
武蔵野市自らが法秩序を乱して『条例違反』をするのと同様の意味を持つとも考えられます。
本当に大きな問題です。
《参考:条例及び施行規則(抜粋)》 条例 第1条 この条例は、本市における自転車等の利用環境の整備、安全利用の促進及び放置防止に関する必要な事を定めることにより、円滑な交通と防災活動を確保し、あわせてまちの景観等の向上を図り、もって安全で快適な市民生活の実現に寄与することを目的とする。 施行規則 第2条 第2項 条例第8条第1項に規定する「その周辺」とは、当該施設の敷地に到達するために歩行する距離がおおむね100メートル以内である場所をいう。 (注)条例第8条第1項では、「…(中略)…当該施設若しくは敷地内、又はその周辺に自転車等駐車場を設置し、自転車等の整理をしなければならない。」と定められています。 |
新たに発覚した2つの問題。これらは、武蔵野市が貴重な市有地であった駐輪場を企業Xに売却したことが間違った判断であることを再認識させられるものとなりました。
図表6は、2010年度以降の物件費の推移を示していますが、この物件費は右肩上がりに増加しています。具体的には、2010年度の物件費は126.5億円でしたが、2021年度(令和3年度)の物件費は171.5億円と45億円も増加しました。
その要因は、外郭団体などの外部機関への委託費が増加しているためです。武蔵野市の外郭団体数は14あり、多額の税金が投入され続けてきました。そして、外郭団体における職員の昇給などによる人件費増加分を税金で負担してきたことがこの委託費増加の主因となっています。
■図表6:物件費の推移(内訳として委託費(除くコロナ関連)、委託費(コロナ関連)、委託費以外)
2021年度(令和3年度)についてみてみると、その特徴は、
①物件費自体は前年度対比で11億円増加
②ただし、コロナ関連の委託費が16億円計上されていてその影響が大きい。
③物件費増加の主因となった委託費(除くコロナ関連)は若干の減少(青色の棒グラフ部分)
④委託費以外の物件費は例年40億円程度だが、令和3年度は3億円程度少ない37.7億円となった(緑色の棒グラフ部分)
⑤物件費(コロナ関連を除く)のうち、委託費(コロナ関連を除く)が占める割合は76%に上昇
が挙げられます。
多額の税金が投入されていて、かつ、右肩上がりに増加してきた委託費ですが、上記③のとおり2021年度(令和3年度)のコロナ関連を除いた委託費は若干の減少となりました。
この先注目されるのは、
・委託費(除くコロナ関連)で見られた変化に対して、この先は再び増加に転じるのか、或いは、減少傾向に転じるのかということ
・委託費以外の物件費は例年40億円程度のところが37億円台となったが、これが一時的なものなのか、このまま減少したまま推移するのかどうかということ
と考えています。
いずれにせよ、図表7で確認できるように、他の自治体よりも圧倒的に多額の税金を投入している武蔵野市の『委託費』を含めた物件費の動向には注視が必要です。
■図表7:物件費の推移(武蔵野市、三鷹市、小金井市、西東京市)
上記1でお知らせしたように、武蔵野市において、物価上昇による財政的な負担が増えていくのは誰の目にも明らかなこととなっています。
執行部の方々には、当然、これ以上物件費が増加しないような市政運営をお願いしたいと思います。
以上、第3回定例会において議論されたテーマのうち、特に重要であると感じた4点についてご報告しました。
これからも未来の武蔵野市を見据えた市政運営が行われるよう、議会にて活動すると同時に、市民の皆様へ武蔵野市政の問題点をお知らせできるように情報発信してまいります。
なお、一部の方から、市政以外の柔らかいテーマもブログで書いてみたら、というお声もいただきました。タイミングを見て、どちらかというとプライベートに近い内容のブログも今後お知らせしたいと思います。よろしくお願いいたします。
令和4年9月7日の総務委員会において、武蔵野市の将来人口推計(以下「人口推計」)の速報版が公表されました。
その人口推計は、現在14.8万人の《武蔵野市の人口》が右肩上がりに増加して、2052年には16.1万人(現在より+1.3万人増)になると推計しています。
■図表1:日本と武蔵野市の将来人口推計(筆者作成)
この件については、第一弾として『武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点:その①~人口推計の重要性とその特徴』(ご覧いただく場合は←をクリックください)にて、将来人口推計の重要性や特徴について、また、将来人口推計に関する10の疑問のうち、4つの疑問と合わせてお知らせしました。
今回は、第二弾として、
・武蔵野市の人口推計方法と人口増加要因
・武蔵野市の人口推計の問題点
について、残りの6つの疑問と合わせて、下記にてお知らせいたします。
(1)コーホート式による推定~直近5年間の傾向が30年間続く前提で推計される
以下の図表2は、令和4年9月に武蔵野市が公表した速報版の将来人口推計のグラフですが、武蔵野市が用いている将来人口推計方法は「コーホート式」と言われるものです。
特徴は、出生、死亡、移動(転出入)などについて直近5年間(趨勢期間)の傾向が推定する期間(30年間)にわたって継続するという前提で推計されることにあります。
この「コーホート式」に従って、武蔵野市は、2052年に人口が現在よりも1.3万人増加して16.1万人になると推計したと速報ベースで公表したのです…
~疑問点その5:出生、死亡、移動(転出入)の直近5年間の傾向が、今後30年間、継続するのでしょうか?~
■図表2:将来人口
(2)人口増加(変動)の要因~毎年、市内人口の8%が転入者。転入者の多さが人口増加に大きな影響を与える
図表3は、武蔵野市の人口動態の推移です。人口の増減については、
・出生数から亡くなった人の数を引いた「自然増減」
・転入した人口数から転出した人口数を引いた「社会増減」
に分類されることがありますが、図表2からは、「自然増減」よりも「社会増減」の方が市内の人口数に大きな影響を与えることが確認できます。
また、社会増減について、武蔵野市では毎年、人口の一部は
・8%超の転入者
・8%弱の転出者
で構成されていることが確認されますが、市内の人口増加の最大の要因は、
・転入者数が多いことから転入出者数(社会増減)が多くなったこと
が図表2からわかります。
■図表3:人口動態の推移(出所:武蔵野市)
(3)純移動率を用いて推計するのは適正といえるのか?
図表4は、武蔵野市が公表した年齢別・性別別の「純移動率」(*)ですが、この図表からは、
①18歳から20代後半の人口の流入超という傾向
②子育て世代のファミリー層が引っ越してきた傾向
が確認されます。
(*)「純移動率」とは、転入した人口数から転出した人口数を引いたものを武蔵野市の人口で割ったものです。
■図表4:年齢別性別別の純移動率(出所:武蔵野市)
②のファミリー層の引っ越しは、低金利下、住宅ローン減税などによって子育て世代が新しく建築されたマンションに引っ越してきたことによるとされています。
この「純移動率」という指標を用いて将来人口推計を推計するのは、適正と言えるのでしょうか?後述しますが、私は、武蔵野市のような移動(転出入)が人口に大きな影響を与える地方自治体が、上記の「純移動率」を用いて「人口推計」を算出することは不正確な結果をもたらすと考えています。
~疑問点その6:この先30年間、18歳から20代後半やファミリー層がこれまでの5年間と同じ水準で、武蔵野市に継続的に引っ越してくるのでしょうか?~
上述したように、2017年から5年間の傾向が30年間続くというこの推計方法(「コーホート式」)では出生、死亡、移動(転出入)のデータが推計するために用いられます。一方、経済指標などは用いられていません。
このことを言い換えると、今回の速報版(令和4年9月7日公表)では、2017年初から2021年末までの5年間の経済状況等が2052年まで継続することになります。
武蔵野市の将来人口推計についてコンサルティングを担当しているのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、MUFJコンサル)です。
(1)住宅着工件数の中長期予想について~2040年には現在より40%減少する見通し
しかし、このMUFJコンサルは中長期経済見通しを公表していて、図表5の通り、首都圏の住宅着工の見通しは現在の33万戸程度の水準から、2040年には▲40%減少して18万戸程度になると予想しています。
住宅着工件数が減少すれば、武蔵野市にこれまで通り引っ越してくる転入者数も減少すると考えられます。
~疑問点その7:少子高齢化が進む中では、この見通しの通り、武蔵野市においても住宅着工件数は減少すると予想されます。転入者も減少するのではないでしょうか~
■図表5:首都圏の住宅着工の見通し(出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
(2)長期金利の中長期予想について~2030年に0.7%まで上昇する見通し
また、MUFJコンサルは「2017年からの5年間は0%近辺にあった長期金利は、今後上昇に転じて、2030年には0.7%になる」と予想しています(図表6)。
長期金利は上昇する見通しであるにもかかわらず、武蔵野市の「人口推計」においては、2017年から5年間の傾向である0%近辺で推移した長期金利の水準が、2052年まで継続するという前提に立っています。
金利が上昇したら、金利負担が増加することから住宅ローンを借りて住宅を購入する人は減少すると考えられます。
~疑問点その8:金利が上昇したら、直近5年間と比べて住宅を購入する人は減少するのではないでしょうか?~
■図表6:長期金利見通し(出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)
上述した通り、武蔵野市の人口は現在14.8万人ですが、そのうちの8%超が転入、約8%転出という状況です。
移動(転出入)が人口変動に大きな影響を与える武蔵野市においては、このような経済前提の見通しを織り込まないと、正確な「人口推計」を推計できないと考えられます。
~疑問点その9:現在の経済前提が30年間続くという前提で人口を推定してよいのでしょうか?~
武蔵野市の「人口推計」の算出におけるもう一つの問題は、日本全体の人口減少が織り込まれていないことです。日本全体の人口が減少していることを織り込まずに、武蔵野市の人口、出生数、死亡者数、転出入者数で推計値を算出しており、その結果として武蔵野市の人口推計をミスリードしているのです。
図表4で「純移転率」をご紹介しましたが、この「純移転率」とは転入した人と転出した人の差を武蔵野市の人口で割って算出したものです。
例えば、武蔵野市に転入してきた20歳の女性が30人、転出した20歳の女性が27人として、その差の3人が住み続けるという傾向があったと仮定します。20歳の女性の総人数が2000人とすると、純移転率は0.15%となります(3人÷2000人)。
武蔵野市が人口推計で用いるコーホート式では、20歳の女性の純移転率は0.15として2052年まで続くとします。しかし、この算出方法は正しいでしょうか?
■図表7:年齢別性別別の純移動率(出所:武蔵野市)*再掲
私は、転入する人と転出する人の差を「武蔵野市の人口」で割って算出された「純移転率」を用いるこの算出方法に問題があると考えています。
なぜならば、武蔵野市から転出する人を武蔵野市の人口に対して推計していくことには問題ありませんが、武蔵野市に転入する人は武蔵野市から転入するわけではなく、「全国から転入」してくるからです。「全国の人口」を母数にしてその変動を加味して推計しなければ正確な転入者数の推計となりません。
従って、本来は、純移転率とするのではなく、
・転出率(分子を転出した人数、分母を武蔵野市の人口)
・転入率(分子を転入した人数、分母を全国の人口)
を用いて、転出する人数と転入する人数をそれぞれ算出してから全体の人口推計を行っていく必要があると考えられます。
武蔵野市のような転入者や転出者の多い自治体で「純移転率」のみを用いた場合、この5年間の傾向のみを反映することで、人口推計を右肩上がりに増加させてしまうのです。
これでは、武蔵野市の『将来人口推計』が不正確なものとなってしまい、未来の市政に大きな影響を及ぼしてしまいます。
~疑問点その10:転入者数の推計に当たっては、武蔵野市の人口ではなく、全国の人口数を母数にして算出しないと不正確な推計値になるのではないでしょうか?~
令和4年9月の総務委員会で報告された人口推計の速報版は、日本や東京都の傾向と異なり、武蔵野市の人口は右肩上がりに増加し続けて2052年に16.2万人(現在+1.4万人)になるというものでした。
しかしながら、この人口推計は、
・2017年初から2021年末までの5年間の傾向が2052年までの30年間継続するという前提で推計
されており、
・この先30年間の住宅着工件数や金利動向などの経済前提
・日本全体の人口減少の傾向
が織り込まれていません。
武蔵野市のデータだけで人口推計を行うことは明らかに不正確であり、武蔵野市の未来をミスリードするものと考えられます。
私は、
・現在の推計方法を継続するにしても経済前提を織り込むことや転入者の母数を日本全体とした転入率を用いる
・現在の推計方法ではなく、東京都推計の武蔵野市の人口推計を何らかの方法で補正したものを人口推計とする
などのように、推計方法を抜本的に見直す必要があると考えています。
武蔵野市の執行部には、武蔵野市の未来に危機感を持って、ミスリードすることのない将来人口を推計していただくことを切望いたします。
■図表8:日本と武蔵野市の将来人口推計(筆者作成)*再掲
武蔵野市議会議員 小林まさよし
令和4年9月7日の総務委員会において、武蔵野市の将来人口推計(以下「人口推計」)の速報版が公表されました。
その人口推計は、現在14.8万人の《武蔵野市の人口》が右肩上がりに増加して、2052年には16.1万人(現在より+1.3万人増)になると推計しています。
一方、《日本全体の人口》を見てみると、現在の1億2550万2千人が2053年には1億人を割ると試算されています。
少子高齢化・人口減少が進む中で、本当に武蔵野市の人口は増加するのでしょうか。皆様はどのように予想されますか?
私は武蔵野市の人口が、市の「人口推計」のように増加するとは予想できません。市民の多くの方から、『ありえない!楽観的過ぎる』、『見通しより少なくなったらどうなるのか?だれが責任を取るのか?』などのご意見をいただいています。
この「人口推計」は抜本的に見直す必要があると考えています。
■図表1:日本と武蔵野市の将来人口推計(筆者作成)
今回は、『武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点』の第一弾として、
・武蔵野市の人口推計の重要性
・国や東京都の推計値と比較した武蔵野市の人口推計の特徴
についてお知らせいたします。
(10の疑問のうち、今回は4つの疑問までとなります。)
上述した「人口推計」は4年ごとに見直されることになっており、今年度に公表予定の「人口推計」の速報版です。現時点では、2018年に公開された「人口推計」が公式な推計結果ですが、これにおいても、武蔵野市の人口は右肩上がりに増加して、2048年に16.2万人になるという見通しとなっています。
■図表2:平成30年公表の武蔵野市の人口推計(出所:武蔵野市)
~疑問点その1:武蔵野市の人口は右肩上がりに増加し続けるのでしょうか?~
この「人口推計」は、武蔵野市の長期計画などを策定するに当たり、基礎データとしてとても重要なものです。
例えば、 図表3は、「第6期長期計画」において、平成30年公表の「人口推計」に基づいて算出された長期財政シミュレーションです。上述したように「人口推計」は右肩上がりに増加する予想に基づいて税収などが試算され、2049年度までの財政状況を予想しています。
その長期財政シミュレーションの特徴は、右肩上がりに増加する人口に基づく税収見込みをベースにしても2047年度に財源不足になることです。
(「人口推計」がこの見通しを下回って少ない人口数となった場合には、2047年以前に財源不足になると予想されます。)
■図表3:長期財政シミュレーション(出所:武蔵野市)
また、小・中学校、保育園などのような公共施設等の建設計画においても、この「人口推計」のデータが用いられます。
平成30年公表の「人口推計」によって策定された「第2期公共施設等総合管理計画」では、市民一人当たりの床面積を2.08㎡に抑えるとしながらも、武蔵野市における公共施設等の再整備費用に30年間で2,966億円もの多額の税金を投入する必要があるとしています。
■図表4:公共施設等の維持管理・更新等の係る中長期な経費の見込みと充当可能な財源見込みの比較(出所:武蔵野市)
財政シミュレーションにしても、公共施設等の建設計画にしても将来の実際の人口がこの「人口推計」より少なくなったら、市民の皆様の負担が増えることは間違いありません。
以上のように、武蔵野市の人口推計は、長期の市政運営に大きな影響をもたらすとても重要なデータであり、この人口推計の通りにならなければ、財政的にも大きな影響を及ぼすことになります。
~疑問点その2:実際の人口が市の人口推計よりも減少した場合、未来の財政的な負担は大きくなります。その責任は一体誰が取るのでしょうか?~
~疑問点その3:建設費用は現在、2021年当初よりも2割上昇。30年間で2966億円を必要とする再整備費用が増加すると予想されます。人口増加という楽観的な見通しで武蔵野市の未来は大丈夫でしょうか?~
図表5は、2020年の人口を100とした場合の
① 〈武蔵野市〉が推計した《武蔵野市》の人口推計(令和4年9月に報告された速報版)
② 〈東京都〉が推計した《武蔵野市》の人口推計(*)
③ 〈東京都〉が推計した《東京都》の人口推計(*)
④ 〈国立社会保障・人口問題研究所〉が推計した2050年までの《日本全体》の人口推計
となっています。
(*) ②と③については2045年、2050年の推計値がないため、2035~2040年の変化率を2045年と2050年に織り込んだものを参考データとして試算しました。
■図表5:日本、東京都、武蔵野市の人口推計(2020年を100とした場合)
このデータから分かることは以下の(ア)~(エ)の4点です。
(ア)武蔵野市推計の武蔵野市の人口推計(①)は、他の推計と異なり、唯一2050年において人口増加。2020年を100とした場合に2050年において109.3まで増加する。
(イ)日本の人口推計(④)は、右肩下がりに減少。2020年対比で2050年には20%近く減少する。
(ウ)東京都の人口推計(③)は、2035年に2020年の水準より減少。2050年には、2020年より人口は7.5%減少する。
(エ)東京都推計の武蔵野市の人口推計(②)は、2040年に2020年の水準より人口は減少。2020年を100とした時に2050年は95.4となり、現在より8千人少ない14.0万人となる。
このように、武蔵野市の人口推計(①)だけが人口が増加するとしています。
しかしながら、将来は減少するという日本や東京都の人口推計を見る限り、武蔵野市の将来人口推計について納得感があるのは、2050年に武蔵野市の人口が上記の(エ)にある通り14.0万人程度になるというものです。
もし、2050年の人口が武蔵野市の将来人口推計の通り(16.0万人)ならずに14.0万人となったら、税収がは減る一方で、過剰に整備する公共施設等の費用が大きくなることで、未来において市民の皆様に財政的な負担を強いることになると考えられます。
~疑問点その4:武蔵野市だけが人口増加するということがあるのでしょうか?推計通りにならなければ市民の皆様の負担が増えることになってしまいます~
『武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点』に関する第一弾として、「武蔵野市の人口推計の重要性」や「国や東京都の推計値と比較した武蔵野市の人口推計の特徴」をご覧いただきありがとうございました。
武蔵野市の長期的な市政運営はこの右肩上がりの人口推計に基づいて行われます。
皆様は、このような推計値でよいとお考えになりますか?武蔵野市の未来が大丈夫かという不安の気持ちを持ちませんか?
私は、不安の気持ちでいっぱいです。現市政には、未来に対する『強い責任』と『危機感』が必要です。
第二弾では、この人口推計の算出方法と問題点などについてお知らせしたいと思います。近日中にお知らせしますので、そちらもご覧ください。
これまでのブログでは、駐輪場問題の『取引の概要と主な経緯』と『二つの土地取引の比較と評価の問題点』についてご報告しました。
第3回目は、「駐輪場を『代替地として随意契約』で売却」したことの違法性についてお伝えしたいと思います。
本来、市の財産(普通財産)は「原則、競争入札で売却」されなくてはなりません。
しかし、今回の土地取引では、武蔵野市は、「駐輪場(B土地)の隣地を所有する企業Xに、入札でなく優先的に駐輪場を随意契約」で売却しました。この点について違法性があると考えています。
(注)入札とは、複数の業者が競争して入札するとであり、公平性や透明性が確保でき、経済的なメリットがあるとされます。一方、随意契約とは、入札がそぐわない場合などに、入札を経ずに特定の相手と契約することを言います。
今回の住民訴訟の大きな争点の1つは、
・この駐輪場(B土地)を『代替地として随意契約』で売却したことが
・『裁量権を逸脱(権限の範囲を超えること)』、もしくは、『裁量権(権限)の濫用(権限の妥当性に欠けるいこと)』に当たると司法が「判断するか否か」
だと考えています。
私は、この土地取引は、「公益性」という観点で「法の主旨」に沿わないものであり、『裁量権の逸脱』、もしくは、『裁量権の濫用』にあたり違法性があると考えています。以下ご覧ください。
松下市長は、令和4年3月1日の第1回定例会において、
「駐輪場のほうですけれども、条例に基づいて、また、要綱に基づいて随意契約を行っております。武蔵野市の事務事業の用に供するため・・・(中略)・・・土地を提供した者に対して普通財産を代替地として売り払う場合という、この要綱の第4条第3号を適用して随意契約で契約を行っております。」
と述べています。(武蔵野市会議録検索より)
松下市長は、「武蔵野市普通財産売払い事務取扱要綱(以下、要綱)」に基づき、駐輪場を『代替地として随意契約』にて売却しているから「適法」だと主張しています。
武蔵野市は、市の財産(普通財産)を売却する際の規定を「要綱」で定めています。
そして、今回の土地取引について、『代替地』として売却することの「適法性」について、以下の通り説明しています。
しかし、この要綱に従って、A土地に駐輪場を建設するために、「駐輪場を『代替地として随意契約』で売却」することは「適法」なのでしょうか?
また、「事務事業の用に供する」というのはどういうことなのでしょうか?
国や東京都が財産(普通財産)を代替地で売却する際の規定について調べてみると、道路、河川、公園に関連する事業である必要があると規定しています。
財務省理財局からの国有地の売却についての通達(「国有地を公共事業の代替地として売り払う場合の取り扱いについて」)には、
・公共事業の代替用地としての売払い基準の1つに、
「土地収用法第3条各号の一に掲げる施設に関する事業に係るものであること」
と定めています。
「土地収用法」の第3条の各号を見てみると、主なものとして、
・道路法、河川法、土地改良法、鉄道事業法、道路運送法、航空法、電気通信事業法、電気事業法、ガス事業法、消防法、水道法、学校教育法、社会福祉法、自然公園法、都市計画法
が挙げられています。
令和4年6月9日に開催された第2回定例会の一般質問で、私が「今回の土地取引が土地収用法の適用対象であるか」と質問すると、松下市長は、「これは土地収用法の対象事業ではございません。」(武蔵野市会議録検索より)とはっきり答弁しています。
東京都は「公共事業の施行に伴う代替地の売払に関する規則」の第2条において、
・公共事業とは、知事又は都が施行又は施行を委託している公共事業のうち、道路、河川、公園、住宅及び清掃に関する事業並びに市街地再開発事業
と規定しています。
令和4年9月2日に開催された第3回定例会の一般質問で、「今回の自転車駐車場建設事業(A土地を購入して駐輪場を建設すること)は、東京都の公共事業の定義に該当するのか」と質問したところ、松下市長は「該当しない」と答弁しました。
松下市長は、今回の2つ土地取引について、「まちづくりに資する形で今回の取引をしている」と答弁していますが、本当に必要ならば、土地収用法の対象事業となる「都市計画法」に基づいて都市計画決定をして、議会、市民に周知した上で、この事業を進めるべきだったと考えらえます。
都市計画決定できなかったのかしなかったのかはわかりませんが、そうすれば代替地として髄契約で売却することに違法性を問われることはなかったのではないでしょうか。
土地収用法の対象となる事業となるような「公益性の高い法律」に基づくことなく、市の貴重な財産を隣地所有者である企業Xに売却するということは、やはり『裁量権の逸脱』もしくは『裁量権の濫用』であり、「違法」であると言わざるを得ません。
これが許されてしまうと、「事務事業の用に供するため」として、三鷹駅北口や武蔵境駅周辺の駐輪場も、市長の「まちづくりに資する」という判断一つで民間企業に対しても『代替地として随意契約で売却』されてしまいます。
このような『裁量権の逸脱』や『裁量権の濫用』が生じることのないように、「代替地として随意契約で売却することのできる事業」を国や東京都のように定義する必要があると私は考えます。
市民の皆さまはどう思われますか?
最近になって、松下市長をはじめとする執行部は、これらの土地取引について、市民周知をしてきたという発言を繰り返しています。
しかし、松下市長は、令和3年11月24日に開催された第4回定例会にて、「このたびの吉祥寺東部地区における市有地の取引につきましては、住民参加による検討が必要だったのではとの御意見もいただいておりますが、これまでも、土地の取引については、相手があることですので、契約締結前に議会や市民にお諮りをしながら検討するといったことは行っておりません」(武蔵野市会議録検索より)と明確に答弁しています。
令和3年10月27日の市民説明会の翌日にB土地(駐輪場)は売却されたのですが、この答弁を含めて、松下市長をはじめとする執行部は、市民や議会に対して、今回の取引について十分に説明しようとする意思があったとは到底考えられません。
このような市民不参加、議会軽視の市政運営を変えなくてはならないと思います。
今回は、「駐輪場を『代替地として随意契約』で売却」したことの違法性についてお知らしました。
最終的には、司法の判断によるところになりますが、私は、土地収用法の対象となるような「公益性が極めて高い法律」の対象事業でないと、公有地を代替地として随意契約で売却してはならないというのが「法の主旨」であり、駐輪場を売却して新たに駐輪場を建設するという「事務事業」のために『代替地として随意契約』で市有地を売却するという行政行為は、『裁量権の逸脱』、もしくは、『裁量権の濫用』であり「違法」と考えています。
皆様は、この土地取引が、「公益性が極めて高い事業」と判断されますか?
吉祥寺駅駐輪場売却問題の第一弾として、『二つの取引の概要と主な経緯』についてお知らせいたしましたが、第2弾として『二つの土地評価の比較と評価の問題点等』について解説したいと思います。
詳細は以下でお知らせしますが、主な問題は次の通りです。
・企業Xに売却した駐輪場を安く評価、企業Xから購入した土地を高く評価
・複数でなく1者鑑定
・財産価格審議会で駐輪場の評価について議論されなかった
・不動産鑑定士が評価した内容について裏付けを確認する資料を入手していない
*専門的な話もあり、わかりにくい点もありますが、ご容赦ください。
武蔵野市が企業Xから取得したA土地と、武蔵野市が企業Xへ売却したB土地の二つの土地について比較した下記の図表1をご覧ください。
■図表1:A土地とB土地の土地比較(出典:著者作成)
上の表にある通り、駐輪場であったB土地は
・駅から徒歩1分で、容積率が600%の商業地域
武蔵野市が購入したA土地は
・駅から徒歩3分で容積率300%の近隣商業地域
です。
どちらの土地の方が、資産価値が高いのでしょうか?
通常、駅に近く、容積率の大きな土地の方が資産価値が高いと考えられます。
実際に、B土地を購入した企業Xは、すでに購入していたC土地との一体地において、12階建てのビルの建設計画を公表しています。一方、A土地に武蔵野市が建設する駐輪場は3階建て(屋上に駐輪スペースにも設置)になる予定です。
このことからも、A土地よりもB土地の方がはるかに収益性・利用価値が高く、資産価値が高いと考えられます。
■図表2:吉祥寺駅周辺地図(出典:ゼンリン地図をもとに著者作成)
次に、二つの土地評価についてみてみると、A土地の「路線価」(*1)は65万円/㎡、市が委託した不動産鑑定士(以下、鑑定人)が評価した「正常価格」(*2)は139万円/㎡(路線価の2.14倍)とされています。
(*1)相続税・贈与税の課税のため街路に付設された価格です。毎年、国税庁が定めます。地価公示価格の8割を目途としています。
(*2)正常価格とは、不動産価格の種類の1つであり、市場価値を表示する適正な評価とされています。上記でお知らせした正常価格は、市が委託した鑑定人の評価です。
B土地については、A土地の「路線価」は100万円/㎡、「正常価格」は159万円/㎡(路線価の1.59倍)とされました。
ここで強い違和感が生まれます。それは、路線価と正常価格の倍率をみると、希少性がある駐輪場であったB土地(1.59倍)よりも、A土地の評価の方が高い評価(2.14倍)をされていることです。
土地の希少性がある場合はその限りではありませんが、通常、「正常価格」は、「路線価」の1.5倍程度と言われています。この点から、明らかにA土地は「高く評価」されていると考えられます。一方、希少性のあるB土地はA土地と比較して「低く評価」されていると考えられます。
不動産関係者の方からは、正常価格が路線価の2倍の値が付く可能性があるのは駐輪場のB土地の方だというご意見を耳にします。
また、A土地とB土地の価格比を「路線価」と「正常価格」で比較してみると、路線価についてB土地はA土地の1.53倍ですが、正常価格になると1.14倍となり、二つ土地の価格比は縮小しています。
■図表1:A土地とB土地の土地比較(出典:著者作成)*再掲
隣地所有者に市有地を売る場合、極めて稀な取引である「限定価格」という評価を行うことになります。「限定価格」とは隣地の土地を併合するような場合に、一般の市場とは異なる価格が付く状態にあることを言います。いわゆる「隣地三倍」という言葉に表現されるケースです。
*こちらのリンク先にて、限定価格の説明がされています。ご参考までに。
「限定価格」の評価の場合、通常、「正常価格」の評価よりも複雑な過程を経て評価されますが、このような複雑な評価が行われる取引に当たっては、「複数の不動産鑑定士」による鑑定が妥当だというのが、私がこれまでお話をさせていただいた不動産鑑定士や弁護士に共通した見解です。
今回の土地評価に問題が生じた理由の1つには、複数の不動産鑑定士が鑑定したものではなく、1者鑑定によるものであったことにあります。実際に、財産価格審議会で良識ある委員からは、「1者鑑定はある程度その人の恣意的な部分があるため、今後もう1者鑑定を取り、相互に検討した方がよいと思う」と指摘されています。
複数の不動産鑑定士による評価が行われていれば、このような評価の正当性について問われる可能性は大きく下がっていたものと考えられます。
なお、1者鑑定とした理由について、市は「東京都が1者鑑定だから」と説明しています。しかし、私が東京都に問い合わせたところ、東京都には不動産鑑定士の資格を持つ都職員がいて、評価の正当性について確認しているからだという回答がありました。一方、武蔵野市には、不動産鑑定士の資格を持っている職員はいないことが確認されています。同じ1者鑑定でも、武蔵野市が東京都と同じように評価の正当性を確認したということにはなりません。
また、この鑑定人は、この5年間、武蔵野市が委託した不動産鑑定に当たって、金額においても件数においても最も市と取引のあった事業者であることが確認されています。このことについて、公正性に欠ける評価が行われた可能性があるのではないかと、疑問に思う声も多く上がっています。
令和3年6月28日、財産価格審議会(以下、審議会)が開催され、議案第1号として「土地の買収価格について」(A土地)、議案第2号として「土地の売却価格について」(B土地)が議論されたことになっています。
しかしながら、この審議会の議事要旨を確認すると、売却した駐輪場であるB土地について全く議論されなかったことが確認できます。購入したA土地については多少議論されているものの、複雑で稀な評価で売却したB土地について、委員が議論しないということはどういうことなのでしょうか。極めて不可解です。
このことからは、審議会は機能していないのではないかという強い問題意識を持たざるを得ません。
*議事要旨については、こちらのリンク先からご覧いただけます。
また、この審議会は9名中7名の委員が出席しましたが、その中に市の関係者が3名もおり、当日は会長を除くと有識者が3名で市関係者が3名でした。そのような環境では、有識者の方々が積極的に発言することは難しいのではないかと考えられます。
今後、審議会委員の構成については、市民の財産が公正公平な評価が行われるように、市の関係者を減らして、有識者を増やすべきではないでしょうか?
余談ですが、武蔵野市の各種委員会では、市の関係者が半数近くを占めていることが散見されます。市の関係者の割合を減らし、専門家あるいは市民ができるだけ多く参加するようにして、活発な議論を重ねる必要があると思います。
さらなる問題として挙げられるのは、鑑定人が行った土地評価について、「裏付けを確認する資料」を市は入手していないことです。後述しますが、審議会の会長からも、「裏付けを確認」するように求められています。
具体的には、土地評価に当たり、鑑定人は、図表3にある「第2分団用地」と「A土地」が一体化することにより、不整形であるにもかかわらず間口が広がることを理由にプラス4%増価(以下図表3の①)するということがありました。この点について、審議会において会長は、プラス4%とする裏付けを確認するように求めていることが議事要旨で確認されました。
そこで、私の方から市に対して、この裏付けを確認する資料を情報開示請求したところ、その資料は「不存在」ということで開示されませんでした。ある専門家は、その資料はない可能性が高いと言っておられました。
また、同様に、B土地について鑑定人は、奥行長大だからということでマイナス5%減価(以下図表3の②)、道路形態が悪いことでマイナス10%減価(以下図表3の③)という評価をしていることから、この裏付けを確認するための資料についても情報開示請求しました。市からの回答は、それらの資料も「不存在」でした。
武蔵野市は、市の財産を「少しでも高く売るように努める」必要があるはずです。しかしながら、購入する土地は高く評価され、売却する土地は低く評価されています。加えて、裏付ける資料も入手していなく、また、審議会でも駐輪場売却についての議論はされていません。
武蔵野市は、市の財産を「少しでも高く売るように努めた」といえるのでしょうか?市民の財産、税金について誠実に向き合っているのか、疑問に思わざるを得ません。不合理、不可解、不自然な土地評価が行われたのです。
以上から、武蔵野市は、本来入手しなければならない資料を入手せずに、十分な審議会でも議論されることなく、『不当に高く』評価された土地を購入して、『不当に安く』評価された土地を売却したと判断されます。
また、地方自治法で定められている最小経費最大効果の観点から、市の財産を高く売るための努力をする必要があったにもかかわらず、武蔵野市はその努力を怠っています。
■図表3:鑑定人によるA土地とB土地の土地評価(出典:著者作成)
詳細な損害額の算出については別途お知らせしますが、まずは土地評価に当たり、以上のような問題があったことをご報告させていただきます。
駐輪場売却に関する取引について、もっと詳しく知りたいというご要望をたくさん頂きました。
そこでチラシとともに本ブログでも情報を発信していきたいと思います。
ただし、内容が多くかつ複雑であることから、数回に分けたシリーズにして、お知らせいたします。
一回目の投稿は、「土地取引の概要と主な経緯」についてです。
武蔵野市は、駐輪場売却に関連して、下記の《吉祥寺駅 駐輪場近辺地図》にあるA土地とB土地についての2つの取引を行いました。
1つ目の取引は、吉祥寺大通り東自転車駐車場(B土地)を C土地を所有する企業Xに 「随意契約」で代替地として売却したことです。
そして、もう1つは、消防団第2分団の隣地にあった旧青山外科跡地(A土地)を企業Xから購入したことです。
市は、『交換的手法』で2つの取引を行ったと説明しています。
(*)そもそも駅に近い駐輪場(B土地)を売却してまでA土地を購入するという必要性があったのでしょうか?A土地では新しく駐輪場を建設する予定としています。
この土地取引を時系列に沿って整理すると、以下の通りとなります。
(1)平成30年6月29日
企業Xが「C土地」を購入。「C土地」は、駐輪場(B土地)の隣の土地です。その後、市に対して「B土地とC土地」との『共同化』を提案。武蔵野市は『共同化』の提案を断った。
この取引が、問題発生の始まり。
(*)共同化とは、複数の権利者が建物を一体的に整備・利用することをいいます。
(2) 令和元年5月30日
企業Xは、『共同化』を市に断られた後、「A土地」を購入。(1)から1年後の話。
(3) 令和2年9月頃
市は、「A土地とB土地」の『交換的手法』による取引について企業Xに相談。(2)から1年4か月後。この間、市は企業Xに接触はしていないと答弁。
(4) 令和2年10月6日
庁内に部長以下の検討会議(吉祥寺東部地区市有地等利活用検討会)を設置。A土地の「購入」とB土地の「売却」を検討。
(5) 令和3年4月28日
経営会議にて「土地の取得等について」を決定。
(*)「経営会議」とは、市長、副市長、総合政策部長、総務部長、財務部長で構成される会議です。
(6) 令和3年5月17日
市議会へ報告。(賛否が問われたものではない)
(7) 令和3年8月27日
土地売買契約を締結、企業Xから消防団第2分団の隣地であるA土地を「購入」。
(8) 令和3年9月16日
吉祥寺本町1丁目在住の市民を中心にした『駐輪場売却反対に関する陳情(「吉祥寺大通り東自転車駐車場用地売却反対及び東部地区の活性化のための計画推進に関する陳情」)』が提出される。
(9) 令和3年10月27日
市は「市民説明会」を開催。
(10) 令和3年10月28日
「市民説明会」の翌日、随意契約にてB土地の「売却」について企業Xと契約。
(1) 企業Xの目的
企業Xは、「C土地」を購入した後、奥行がわずか6.4mで壁のようなビルしか建てられなかったため、資産価値向上のために市に「B土地」との『共同化』による一体開発を提案したと推察されます。
(2) A土地とB土地の交換
市が断ると、「なぜか」企業Xが「A土地」を購入し、いつの間にか、市から接触して『A土地とB土地の交換』の話が進んでいくこととなりました。
(3) 市が交換を決定してA土地を購入
経営会議にて「土地取得等について」決定し、令和3年8月27日、『交換的手法』を前提として、企業XからA土地を購入しました。この時、実質的には「B土地の売却が決定」されたことになります。
(4) 市民への報告は『実質ゼロ』、議会への報告は1回のみ
令和3年10月27日に「市民説明会」が開催されました。ただし、市は既に交換的手法でA土地を購入していたことから、実質的には「市民説明会」ではなく『事後報告会』でした。なお、この「市民説明会」に使われた会場は午後10時まで使用が可能でした。しかし、松下市長は午後8時までしか使用できないと『虚偽』の発言。市民からの質問が残る状態であったにもかかわらず、実質1時間で打ち切り、足早に説明会の場を去っていきました。
議会に対しては賛否を問うものではなく、令和3年5月17日に報告が一度行われたのみでした。また、議会には相談することなく、相談前の令和3年4月に意思決定されています。貴重な土地で、駐輪場として使っていた行政財産を、市民にも議会にも相談することなく、意思決定しました。
(5) 「市民説明会」の翌日の「売却」
市民説明会では、「売却」については『協議中』であると説明していましたが、その説明会の翌日、市民へ説明することなく、駐輪場は「売却」されました。「市民説明会」で市長が述べた「協議」について後日確認したところ、「いつ売却するかを協議していた」ということでした。また、市民からの売却に反対する『陳情』が議会において議論されている最中でした。市民の皆様を軽視した、あってはならない『行政行為』だったと考えられます。
(6)『違法』な行政行為
本来、市の財産は競争入札にて売払われるものですが、『随意契約で代替地』として売払われました。この点については、『違法』な行政行為と考えられます。
(7) B土地を入手して満足する企業X、貴重な土地を失った武蔵野市民
そもそもは『共同化』を提案した企業Xですが、「B土地を購入」できたことで、単独で一体開発することが可能となりました。大きく資産価値を向上させることができたという点において、企業Xにとっては非常に満足する取引であったと考えられます。
一方、市民にとっては2度と手に入らない貴重な一等地を失い、さらに駐輪場としての機能がなくなったという、大きな損失を被ることになってしまいました。
以上が、主な経緯に関連する情報です。
この取引について、土屋正忠元市長が請求人の一人として起こされた住民請求の「住民監査請求書」には、
・手続きにおいても隠密裏に進められた。 ・市民の税金で購入した超一等地を隣地に売却するなどの記述は市報に一度も記載されず、市民に周知されることがなかった。 ・情報公開と政策段階からの市民参加をうたった武蔵野市自治基本条例の各条にわたり、根本的に違反するものである。 ・甲がこの上記条例に誠実に向かい合い、早い段階で市議会や市民に土地売却等の情報公開を実施していれば、市民の英知が反映され、損害発生が防げたものと思われる。 ・甲の政治姿勢に強い疑問を抱かざるを得ない。 (*)甲は松下市長。 |
と書かれています。
私も、上記にある通り、隠密裏に進めることなく、市民の皆様や議会と情報共有していれば、このような問題が生じなかったと思います。
住民投票条例も、この駐輪場売却問題も、『市民軽視で一部の人間に都合がよい市政運営の結果』であると考えられます。
このような市政運営を変えていかなければなりませんが、先日行われた議会や委員会をみると、聞く姿勢を持たない状況については、残念ですが変化がありませんでした・・・
吉祥寺駅北口駐輪場売却問題における「2つの取引」について、ご理解いただけたでしょうか。
この件には、上記以外にも様々な問題があります。今後のブログにて、順次お知らせしていきます。
引き続き、よろしくお願いいたします。
最近、議員、特に我々自由民主・市民クラブの議員からの質問に対して、松下市長と執行部から『適時・適切に対応します』という言葉を耳にする機会が多く、私は、腑に落ちないことが多々ありました。
何故なら、『適時・適切』と発言した後に、具体的に「いつ」、「どうする」という説明を受けたことがなかったためです。
令和4年9月1日から令和4年度第3回定例会が始まり、議員による一般質問が行われました。私は、使われなければよいな、という希望を持ちながら、『適時・適切』という言葉をどのくらい使うかについて注目していました。
結果は、『適時・適切に対応します』を繰り返し発言する市長を確認するというものでした。
『適時・適切』については、「自治基本条例」の第3条に以下のような記載があります。松下市長は、この第3条にある『適時』、『適切』を頻繁に引用しているのです(太字は筆者)。
第3条 市民自治の推進は、市が、市政に関する情報(以下この条において「市政情報」という。)を適時に、かつ、適切な方法により、市民に対して分かりやすく提供するよう努めることにより、市と市民とが市政情報を共有することができるようにすることを旨として行われるものとする。 |
前述しましたが、松下市長は『適時・適切』と発言した後に、「いつが適当な時期」であり、「どのような方法が適切」と考えているのか説明したことはありません。
そもそも、この第3条が定められた主旨は、
・「市民自治の推進」には
・「市政に関する情報を市民に対して分かりやすく提供する」ことにより
・「市と市民とが情報共有する」ことが必要
というところにあります。
松下市長は、この条例の主旨を曲解し、答弁で都合が悪くなると、『適宜・適切に対応します』と発言して説明を終わらせようとしていると考えます。
このような松下市長の対応は、「自治基本条例」第3条の主旨に反しているのではないでしょうか?
これでは条例違反であると言わざるを得ません。
「自治基本条例」には、他にも以下のような定めがあります(下線は筆者)。
*数多いので、すべてを見る必要はございません。
第3条の2 市民自治の推進は、市が、市民の市政に参加する権利を保障するとともに、市政情報の共有を通じて、市民が市政に参加する機会を保障することを旨として行われるものとする。 |
第3条の3 市民自治の推進は、市民、市議会議員(以下「議員」という。)、市長等及び市職員(以下「職員」という。)のみならず武蔵野市に関わる様々な主体が、市政情報を共有して市政に参加し、協働して公共的課題の解決を図ることを旨として行われるものとする。 |
第3条の4 市長は、市民、議員及び職員の参加のもとに、市政に関する長期的かつ基本的な計画を策定することにより、武蔵野市の目指すべき将来像を明らかにするとともに、政策資源の有効活用を図り、もって総合的かつ計画的に市政を運営するものとする。 |
第5条の3 議会は、総合的かつ計画的な市政運営が行われているかどうか及び市民の意思が市政に適切に反映されているかどうかについて、市長等の事務の執行状況の監視及び評価をするとともに、自らも政策の立案、提言等を行うものとする。 |
第5条の4 議会は、市民参加の前提となる情報共有を図るため、何人に対しても開かれた議会の運営に努めなければならない。 |
第7条 市長は、武蔵野市の代表者として、市政を総合的に調整し、公正かつ誠実に運営しなければならない。 |
第7条の3 市長等は、その保有する情報を分かりやすく提供するよう努めることにより、市民との情報共有を図らなければならない。 |
第9条 市は、市民の市政への参加を促進するため、市民の知る権利について保障するものとする。 |
第10条 市は、市民の市政への参加を促進するため、市政に関する情報を適時に、かつ、適切な方法で公開するとともに、市民に対して分かりやすく提供するよう努めなければならない。 |
第12条 市は、政策形成の過程を明らかにするとともに、政策、施策、事務事業等(以下「政策等」という。)の立案、決定、実施及び評価の各段階において、その内容について市民に対して分かりやすく説明するよう努めなければならない。 |
第21条 議会と市長等とは、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにし、合意形成に向けて審議を尽くすよう努めなければならない。 |
第21条の2 市長等は、市政運営について議会との情報共有を図るため、議会に対して、適切で分かりやすい資料を提供し、説明し、又は報告をするよう努めるものとする。 |
ご覧いただいたとおり、上記の「自治基本条例」の各条・各項において、自治基本条例の原則である「市民参加」、「情報共有」、「協働」を遵守するように定められています。
市長は、『適時・適切』という言葉を都合が悪いときに切り取って、自治基本条例の主旨に反する形で使っています。
民間企業において『適時・適切に対応します』と言った場合は、間違いなく「いつ、どのようにするのか、明確に回答するように」と言われます。民間企業での勤務経験がある私は、そもそもそのような発言をする発想はありませんでした。
松下市政における現在の武蔵野市役所内では許されるのかもしれません。しかし、少なくとも、市民や議会に対する説明では、頻繁に『適時・適切に対応します』という言葉は使うべきではないと思います。
「自治基本条例」の本来の主旨を遵守してほしいと思います。
皆様は『適時・適切』の使い方についてどうお考えですか?