• カテゴリー別アーカイブ 未分類
  • 市政ニュース:①コスモズ補助金不正受給問題、②キャバレービル建設計画問題、③給食費無償化等の会派要求の3つのトピック

    市政ニュースを作成しましたのでお知らせいたします。
    (こちらクリックください。)

    市政ニュースでは以下の3つのトピックについて取り上げています。

    1,コスモズ補助金不正受給問題~市長に対して厳正な対処と説明責任を果たすことを求める要望書を提出!


    2,キャバレービル建設計画問題~超党派の議員連盟を設置、住民の方々と意見交換会や署名活動を実施

    3,会派要望を提出~政府が取り組んでいる『給食費無償化』について、先行して武蔵野市においても『給食費無償化』を導入することを今年度新たに会派で要望。その他は、建設費高騰を配慮した公共施設改築の再検討、吉祥寺・三鷹・武蔵境駅の再整備等、都営水道一元化など

    引き続き、市政の問題を、会派・議員間で連携して解決できるように取り組んでいきたいと思います。

    武蔵野市議会議員 小林まさよし


  • 市政レポートNo.16のお知らせ~トピックは①住民投票条例制度・有識者懇談会、②コスモズ補助金不正受給問題、③1中の入札不調問題


    いつもお世話になっております。

    市政レポートNo16を作成しましたのでお知らせいたします。
    (こちらクリックください。)

    レポートでは以下の3つのトピックについて取り上げています。
    1,住民投票条例制度に関する有識者懇談会について
    2,コスモズ補助金不正受給問題について
    3,1中の入札不調問題について

    武蔵野市政について感じることに、
    ・市民生活に直結するもので本来市長のリーダーシップによって進められるべき政策が後回しにされる一方で
    ・松下市長の政治思想に基づく政策や一部に都合がよい政策が優先されている
    ということがあります。

    武蔵野市の対応が遅れていて本来優先して進められるべき政策は
    ① 吉祥寺南口の再整備や地域活性化対策などの街づくり
    ② 都営水道一元化
    ③ 巨大災害に備えた防災・減災対策
    ④ 学校改築等公共施設等の再整備の見直し
    ⑤ 高コスト化が進む武蔵野市の行財政改革

    などであり、
    現在、市長の思想や一部の人間に都合がよい政策として優先的に進められてきたのは
    ①『分断と混乱』をもたらした住民投票条例
    ② 子どもの権利条例(父母や家庭の責任を軽視する古い左翼的思想)
    ③ 駐輪場売却(売却先の企業を特別扱いするような規則変更、外周部に駐輪場を設置するという方針など)

    などです。

    武蔵野市の発展を考えて貴重な税金や職員の労働力を効率的に投入しているように思えません。

    また、松下市長は西東京市で街頭活動を行ったということが確認されています。直近作成された松下市長のレポートは市政の内容ではなく、国政の内容が多く示されています。

    一部では次の衆議院選挙で出馬する可能性が高く、その準備を進めているのではないかと言う人もいます。

    優先して進められるべき政策が後回しにされ、武蔵野市政が停滞している現状について強い危機感を持っております。

    松下市長については、市長としての責任を果たすべく活動をしていただけるように、継続して監視・評価していきたいと思います。

    引き続き、よろしくお願い申し上げます。

    武蔵野市議会議員 小林まさよし


  • 保健センター増築関する近隣住民説明会に参加~近隣住民の方からは不満の声

    こんにちは!
    本日(令和5年6月25日)、保健センター増築及び複合施設整備(以下、保健センター増築計画)に関する近隣住民説明会が行われるということで参加してまいりました。

    保健センター増築計画の予算執行に当たっては、議会において「基本計画案の議会への報告等、議論を尽くす場を求める」とした付帯決議あります。

    説明会参加の主な目的は、
    ①近隣住民への説明会においてどのような議論があるのか
    ②議論が尽くされるかどうか

    という事を確認することでした。

    なお、近隣住民の方の陳情が採択されていますが、その内容は、
    十分な日照が確保できるよう建物の構造配置を配慮すること
    とあります。

    (*)保健センターの増築問題についての詳細は、こちらのブログをご覧ください。

    1.市からの説明内容

    (1)施設の必要性について
    市は延べ床面積を8500㎡となる複合施設が必要であり、計画を進めていくというものでした。主な理由は以下の通りとしています。

    ① 大規模改修の必要性(一人当たり2㎡という労働環境が問題であるなど)
    ② 施設面積拡充の必要性(普段は多目的スペースとしながら500㎡をワクチン接種として活用)
    ③ 複合施設整備の必要性(妊娠期から切れ目のない支援を実現するための施設として)

    しかし、8500㎡という規模がどのくらいかというと、第一小学校から第五小学校からの規模は以下の通りですが、平均的には各校の1.3倍程度になります。
    ・第一小学校:5,481.58㎡
    ・第二小学校:5,581.68㎡
    ・第三小学校:6,729.92㎡
    ・第四小学校:6,960.43㎡
    ・第五小学校:6,481.53㎡

    (2)日照への対応について
    3階建ての計画と4階建ての計画があるが、日照を配慮するために4階建てを考えている。北側の3階部分の一部を4階に持っていくことで階段状となり日照を確保できるよう配慮する。

    2. 近隣住民の方の主なご意見

    質疑のタイミングにおいて近隣住民の方が質問していた主な内容は以下の通りです。
    ・日照が確保できるのか。
    ・2階では十分な日照が確保できないという事にならないか。
    ・日照の改善をしてほしい。
    ・保健センターを利用していない。切れ目のないというが、小さな子と年配の方しか利用しないのではないか。本当にこの施設は必要なのか。
    ・35年しか持たないのに100年に一度のコロナ対応でここまで必要なのか。
    ・保健センターをそこまで利用しない。恩恵はない。計画は縮小できるのではないか。
    ・チャレンジルームはここに置く必要はない。
    ・1中の学校改築について入札不調になったが、資材高騰で当初の40億円では済まないだろう。50億円くらいになるのではないか。近隣住民というより、一市民として心配している。ここまでの予算をかけての大規模な施設が本当に必要なのか。縮小して日照を確保できないのか。
    ・陳情を出した時と何ら変わっていない。
    ・保健センターの前の道は、人流は多いところであり、搬入、搬出がある中で通学、通園に影響ある。松下市長が住むマンションの工事の際も負担が大きかった。

    3.市の回答

    市はそれぞれに回答するものの、最終的な回答として共通したのは、
    ・4階建てにすることを理解してもらいたい
    というものでした。

    近隣住民の規模縮小などのような意見を踏まえて、現在の計画を変える可能性があるとは一切感じられませんでした。

    4.説明会終了後の近隣住民の方のご意見

    説明会終了後、近隣住民の方とお話しさせてもらいましたが、
    ・私達の意見を聞いていない
    ・ありきだ
    ・消化不良

    という事でした。

    5.説明会に参加して感じたこと

    4の近隣住民の方々は率直に『不満の声』をあげられていて、また、そのご意見はごもっともだと感じました

    議論が尽くされたとは思えませんし、これをもって近隣住民の方が4階建てとする市の計画を了承したとは認識していません

    また、市民の方も質問されていましたが、
    現状、資材高騰が大きくある中で、これだけ大きな施設が必要かどうか強い疑問を持たざるを得ません。

    近隣住民の方々のおっしゃる通り、私は規模縮小・予算縮小、及び、これによって北側に日照を確保するためのスペースを確保することで近隣住民の方々に納得いただけるような対応が必要だと考えます。

    説明会等に参加したことを毎回ブログにすることはないのですが、非常に残念な思いをしたので、記録として残すようにしたいと思います。


  • 選挙結果のご報告

     4月23日投票日の武蔵野市議会選挙にて、多くの方からのご支援の下、3940票(得票率6.5%)の付託を受けて、2期目となる市議会議員をさせていただくことになりました。

     武蔵野市における投票率は、市区長選のない単独の市議会議員選挙のみで50%を超える結果となりました。選挙活動中も多くの方からご意見等いただきましたが、市民の皆様が武蔵野市政の在り方について強い「問題意識」を持たれていることを実感いたしました。

     皆様から頂きました声を訴えてきた『市政改革』を推進するための力に変えて、これまで以上に武蔵野市の発展のために粉骨砕身の覚悟で活動してまいります。

     引き続き、ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。


  • 集会のご案内

    今後の集会のご案内をさせていただきます。
    (注)変更等がある場合は、こちらを随時更新してまいります。


    【令和5年4月1日(土)】
    場所 武蔵野プレイス4階フォーラム
    時間 18:30~
    問い合わせ先 小林まさよし 070-8374-6080


  • 年末のご挨拶~これまでの1年3か月を振り返って~課題が山積する武蔵野市政

     本年は大変お世話になりました。
     2022年も残りわずかとなりました。

     

     議員になって約1年3カ月が経過しました。支援者の皆様の応援の声を励みに、活動させていただいています。日頃のご支援、本当にありがとうございます。

     当初に予想した通り、武蔵野市には多くの課題が山積していると感じています。以下の通り、この1年間と3か月を振り返ってみました。

    《住民投票条例について》

     最大の出来事だったと言えるのは昨年末の「住民投票条例案」です。市内に分断と混乱が生じ、マスコミなどにも多く取り上げられました。

     「住民投票条例案」については、市民不参加など様々な論点がありましたが、5000筆を超える反対の署名にも耳を貸すことなく、一部の人にとって都合のよい「イデオロギー」をもとに、市長が政策が強引に進められようとしたことが最大の問題点だと考えます。

     昨年の11月下旬から1カ月間、ほぼ毎日街頭で活動をした際に強く実感したのは、市民の皆様からの多くの反対の声です。街頭活動においては「頑張ってください」、「止めてください」という応援の声もいただきましたが、頷く方や目で賛同していることを訴える方など、市民の多くの方が問題意識を持っていると感じました。決して忘れることのできない経験です。

     この「住民投票条例案」については、当初、反対の意思を示していたのは自由民主市民クラブのみでした。しかし、多くの市民の皆様の声が最終的に議会を動かし、否決することができました。

     問題意識を持ち「住民投票条例案」を否決すべく、ご協力いただいた皆様、反対の声や意思を示してくださった皆様に心から感謝を申し上げます。

     市民の皆様の声を聞き、市民の皆様が本当に必要な政策を前に進めることが求められていることを改めて学ぶことができました。

    《駐輪場売却問題について》

     吉祥寺駅北口の駐輪場売却問題は、まだ解決していない大きな問題です。

     この問題については、
     ①市民不参加・情報非開示
     ②違法な手続きによる市有地売却
     ③不当な評価
    が挙げられます。

     この問題を見過ごしてはならないとして、上記の論点を中心に土屋正忠元市長や有志の議員と共に住民監査請求を行い、現在は住民訴訟に至っています。

     駐輪場売却問題の詳細については、これまでブログを通じてご報告しています。こちらをクリックしてご覧いただければ幸いです。


    《隔地駐輪に関する市の対応について》

     「駐輪場売却問題」に関連して、新たに「隔地駐輪」に関する問題が発覚しました。

     武蔵野市で一定規模のビルを建設する際には、駐輪場を設置する義務が「条例」によって課せられています。ユニクロ、LABI、ヨドバシカメラなどは、この条例を遵守して建物の地下や敷地内に駐輪場を設置しています。

     駐輪場を購入した企業も、当然のことながら新たに建設するビルに駐輪場を設置しなくてはなりません。当該企業は、当初、ビルのテラスに駐輪場を設置すると計画を立てていました。しかし、この計画については、市民の皆様から実用性などについて反対の声が上がり実現しませんでした。

     その結果、当該企業が取った選択は、「隔地駐輪」を設置するというものです。駐輪場は、原則として建物・敷地内に設置するとされていますが、当該企業は、「資材高騰により予算上厳しい等」を理由に、建設する建物から350mも離れたところに設置するという方針を打ち出したのです。

     この「隔地駐輪」については、「条例」を実施するための手続きを定めた「規則」で規定されています。2022年10月21日にこの「規則」が変更されるまで建物から駐輪場からの距離は「100m以内」と定められていました。

     しかし、市長は2022年9月26日、つまり、「規則」を変更する一か月前に、駐輪場を売却した企業に対して「350m離れた場所での駐輪場設置」を認めてしまったのです。

     この市長並びに市の対応については、
     ・「100m以内」と定められた条例・規則に違反すること
     ・これまで条例・規則を遵守した事業者に対して不平等・不公正であること
     ・議会にも市民にも報告しないという情報非開示・隠ぺい行為
     ・規則改正について本来あるべき手続きを踏んでいないといこと
     ・自動車の駐車場に関する考え方を、自転車の駐輪場に当てはめたこと
     ・自転車法の趣旨に従う対応でないこと
     ・自転車等駐車対策協議会でこの重要な事項が調査審議がされていないのにも関わらず規則を変更したこと
    などの数多くの問題が挙げられます。

     これらについては、市政レポートNo.12(「隔地駐輪について」)をご覧ください(こちらをクリック


      

     「駐輪場売却問題」や「隔地駐輪問題」については、法の解釈を捻じ曲げてでも、売却先企業を優先する市政運営に対して、強い疑問を持たざるを得ません。不自然、不可解、不合理な市政運営が行われているのです。

     松下市長は「一体誰のために働いているのか?」という疑問も生じます。


     

     《他にも課題が山積する武蔵野市政》

     ここまで「住民投票条例案」や「駐輪場関連問題」についてご報告してきましたが、武蔵野市には、以下のような課題も山積しており、未来の武蔵野市に強い危機感を抱かざるを得ない状況です。(以下、クリックしてご覧ください)

    高コスト化が進む武蔵野市

    なぜか武蔵野市だけが30年後も右肩上がりに人口が増加するという都合の良い将来人口推計

    災害危機に強い街づくりを進めない武蔵野市政

    他の自治体よりも多額の税金投入を必要とする公共施設等の再整備費用(30年間で2966億円)

     現市政が進めるような一部の人に都合のよい市政運営ではなく、市民の皆様に本当に必要な政策が進められるよう、これからも議員として活動してまいります。

     皆様には、来年も変わらぬご支援等を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

     最後になりましたが、皆様にとって2023年が素晴らしい年になりますようにお祈り申し上げます。


  • 企業Xの隔地駐輪場問題:350m離れたところの駐輪場設置で問題ないのか!?

     武蔵野市において一定規模の施設を建設する際には、その施設を利用者のために駐輪場を設置しなければならないことが条例(*)で定められています。

     当然のことながら、吉祥寺北口にあった駐輪場の売却先である企業Xも新たに建設するビルには、駐輪場を設置しなければなりません。
     ご存じのとおり、ユニクロは地下に、ヨドバシカメラは敷地内に駐輪場を設置しています。

     ここで東京都豊島区の駐輪場の附置義務制度を見てみましょう。豊島区では次のように規定しています。

    • 自転車駐車場の設置場所は、当該建物内に設置
    • やむを得ず敷地外に設置する場合は、敷地から50m以内の場所で、恒久的な自転車駐輪場とし、借地などの仮設駐輪場は不可

     原則は建物内若しくは敷地内に駐輪場を設置することが求められており、やむを得ない場合にのみ「隔地駐輪(離れた場所に設置する駐輪場)」を認めるという豊島区の考え方が一般的です。

     武蔵野市でも、多くの事業者の方には建物内か敷地内に設置していただいています。仮に、「隔地駐輪」にする場合は、条例・施行規則において『おおむね100m以内』と定めています。

     ところが、企業Xは『建築予定の建物から350mも離れたところ』に駐輪場を設置しようとしており、市長がそれを認める決裁しています。私は、この武蔵野市の対応は「条例・施行規則違反」だと考えます。

    図表1:企業Xの隔地駐輪場の設置場所

     さらに、「350m」を認めた法的根拠に疑問が残ります。
     この点については情報開示請求した資料によると、
     ・東京都駐車場条例の第18条第1項(以下、「駐車場条例」)
    の解説(考え方)を準用していることが確認されました。

     この条項では、「おおむね300m以内の場所」と定められています。武蔵野市は、「駐車場条例」が「300m以内」としているから、隔地駐輪場の設置も「300m」で問題ないというのです。

    (注)この隔地駐輪の対応方針についての市長決裁は令和4年5月31日に行われていますが、市民の代表で構成される議会への報告は一切ありません。

     しかし問題は、この「駐車場条例」が自動車の『駐車場』を対象にした条例であることです。
     自転車の『駐輪場』を対象にしたものではありません。武蔵野市の担当者もそのことを認識していました。

     今回の企業Xの隔地駐輪場を350m離れたところに設置することについて、自動車を対象とした「駐車場条例」の考え方を準用するというのは、そもそもの法の主旨から逸脱していると言わざるを得ません。

     非常に残念な武蔵野市の対応です。なぜ法の解釈を捻じ曲げてまで、企業Xを特別扱いするのでしょうか?本当に不自然、不可解です。

    いずれにせよ、今回の隔地駐輪に対する武蔵野市の対応は、憲法をはじめとする様々な法令等に違反する可能性があると考えられます。

     このような恣意的かつ不合理な行政権の行使を認めるわけにはいきません
     これからもこの市長決裁を破棄することを強く要望するとともに、今後もこの問題についても厳しく追及してまいりたいと考えています。

     


  • 令和4年度第3回定例会を終えて~確認された4つの重要なテーマ

     令和4年第3回定例会が9月28日に閉会しました。

     今回も「一般質問」、「各委員会」、「決算委員会」を通じて、武蔵野市政における様々な論点が第3回定例会にて議論されました。

     この第3回会定例会におけるトピックの1つは、私が所属する「自由民主・市民クラブ」が決算委員会での議論を通じて「令和3年度武蔵野市決算」を否認したことです。

     決算委員会では、令和3年度に武蔵野市で行われた一般会計と特別会計の事業について、審査されました。

     自由民主・市民クラブが「令和3年度武蔵野市決算」を否認した理由としては、

    分断と混乱を招いた「住民投票条例案」説明会の翌日に売却された「吉祥寺駅北口駐輪場問題」など、市民不参加、周知不足の状態で事業が前に進められた結果、深刻な問題となったこと

    アストラゼネカ社のワクチンについて12520回分の大量破棄があったこと

    川上村にある自然の村の設備整備が十分でなかったこと

    などが挙げられます。

     なお、「令和3年度武蔵野市決算」は、最終的には、「自由民主・市民クラブ」のほかに2名の議員が否認しましたが、賛成多数で可決されてしまいました。

     以下では、今回の定例会において武蔵野市議会議員として特に重要だと感じた3つのテーマについて、ご報告いたします。

     


    1.物価上昇の顕在化~さらなる物価上昇を想定し、「歳出の在り方」の抜本的な見直しを!

     この定例会においては、令和4年度補正予算が議案としても上程されましたが、燃料費高騰、資材費高騰、食材費高騰などによる物価上昇の顕在化が明らかになり、予算の増額が行われたことが今回の定例会の重要なテーマの1つになったと考えらえれます。

     ご承知の通り、ウクライナに対するロシアの侵攻や円安に起因して、生活に身近な食品価格やエネルギー価格の物価上昇が確認されています。皆様の生活にもすでに物価上昇の影響が出ていると思われます。

     また、鋼材価格の高騰や円安によって建設資材は大きく上昇。建設物価調査会の調査によると、2011年を100とした建設資材物価指数(建設総合)は、2021年当初は110程度の水準でしたが、2022年8月には135近辺まで上昇しています(図表1)。

    ■図表1:建設費指数(出所:建設物価調査会)

     武蔵野市では、令和4年3月に公表された「第2期公共施設等総合管理計画」によると、この先30年間で2,966億円の事業経費を予定しています(図表2)。これは、直近の資材高騰が織り込まれていない状態で策定された計画ですが、このままでは建設費用の増加によって武蔵野市の財政的な負担が大きく増えるのは必至です。

    ■図表2:公共施設等の再整備費用の中長期的に見通し(30年間)(出所:武蔵野市)

     また、ここで注目すべき点は、一人当たりの床面積でみると、武蔵野市は近隣自治体の1.4倍の公共施設等を有していることです。

     もともと公共施設等の再整備費用による財政的な負担が多い武蔵野市は、物価上昇による影響を含めて、今後の公共施設関連を中心とした「歳出の在り方」について「危機感」を持ち、抜本的に見直す必要があると考えています(図表3)。

    ■図表3:類似自治体の市民一人当たり床面積の状況(出所:武蔵野市資料より作成)

    なお、関連するブログは以下の通りとなっています。

    建設費2割高騰による武蔵野市財政の影響~保健センター増築関連計画を含めた公共施設等の建設計画を見直す必要はないのか⁉


    2.将来人口推計速報版~右肩上がりに人口が増加するのか?抜本的な見直しを!

     令和4年9月7日の総務委員会において、武蔵野市の将来人口推計(以下「人口推計」)の速報版が公表されました。その速報版では、武蔵野市の人口が現在の14.8万人から2052年に16.1万人に増加するという内容になっていました。
     私は、この「右肩上がりの人口推計」は、今回の定例会におけるとても重要なテーマの一つだと考えています。

    ■図表4:武蔵野市公表の将来人口推計(出所:武蔵野市)

     この推計値は、日本や東京都の人口が減少する中で、唯一、武蔵野市だけ人口が増加するというものです。少子高齢化が予想される中で、武蔵野市だけが人口増加する?という強い違和感を持つ推計結果です(図表5)。

    ■図表5:日本、東京都、武蔵野市の人口推計(2020年を100とした場合)

     武蔵野市は、公共施設等の再整備費用に多額の税金が必要となるだけでなく、外郭団体を含めた外部機関へ多額の税金を投入するなど高コスト化が進んでいます。

     問題は、実際の人口がこの将来人口推計を下回る場合に税収が想定より少なくなることです。一方、人件費や公共施設の再整備のようなコストは急には削減できません。その結果として、未来の武蔵野市民に多額の負担をお願いすることになってしまう危険性が懸念されます。

     私は、人口動向や建設費用高騰などの影響を踏まえたうえで未来を見据えると現在の武蔵野市に40億円の税金を投入して、保健センターを増築する財政的な余裕はないと考えています。
     執行部の方には、右肩上がりの将来人口推計ではなく、これまで以上の「危機感」を持って武蔵野市の未来を見据えた将来人口推計を策定していただくことをお願いしたいと思います

     この件の詳細は下記のブログに書いています。そちらもぜひご覧ください。

    武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点:その①~人口推計の重要性とその特徴

    武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点:その②~武蔵野市の人口推計の推計方法と問題点


    3.吉祥寺駅北口駐輪場売却問題~企業Xの経営権を中国・香港ファンドが取得!?隔地駐輪場についての条例違反の可能性も新たに発覚!

     吉祥寺駅北口駐輪場売却問題については、土屋正忠元武蔵野市長が松下玲子武蔵野市長に対して9億9,870万円の損害賠償請求を求める住民訴訟を起こしていますが、この定例会が開催されている間に、以下の2つのことが明らかになりました。

    ①武蔵野市が駐輪場を売却した先である企業Xの経営権を、中国・香港の投資ファンドがTOB(株式公開買付)にて取得する動きがあることを企業X及び投資ファンドが公表し、日経新聞などでも報道。

    ②企業Xが購入した駐輪場跡地に建設予定の施設に必要な駐輪場の付置義務について、350m離れた場所に「隔地駐輪場」を設置する方針であることが明らかになりました。そして、市長が場所と仕様については決裁したことが確認されています。

     しかしながら、後述するとおり、350m離れたところに「隔地駐輪場」を設置することは、条例にある「付置義務」(*)に違反、つまり、『条例違反』だと私は考えています。

    (*)「付置義務」とは、一定規模以上の施設を新築又は増築する場合には、「自転車駐車場の設置」を条例で義務付けていることです。

     ①については、そもそも市が企業Xと結んだ土地売買契約書には、「公共貢献」などが売払い要件にて記されています。要は、市有地を売却するけれど、企業Xは施設の建設と運営において公共貢献に資する対応をする」ということが約束されていたのです。

     しかし、経営権移転によってこの売払い要件が遵守されない可能性が高まったことが議会にて指摘されました。また、この企業Xは「(駐輪場跡地に)建築した施設が転売されることは否定できない」という主旨の発言をしていたことが判明しました。

     武蔵野市は、「市の利益の増進」に当たるとして、武蔵野市の貴重な市有地を入札することなく「随意契約にて代替地として売却」したのですが、この土地取引によって、市の主張する「市の利益の増進」があるのか強い疑問を持たざるを得ません

     ②については、「武蔵野市の武蔵野市自転車等の適正利用及び放置防止に関する条例及び施行規則」にて、新たに建設する施設等について駐輪場の「付置義務」が定められています

     この条例設置の目的は、条例第1条にあるように「本市における自転車等の利用環境の整備、安全利用の促進及び放置防止に関する必要な事を定めることにより、・・・(中略)・・・安全で快適な市民生活の実現に寄与することを目的とする」というものです。

     そして、そのためには隔地駐輪場を設置する場合は、施行規則第2条第2項で当該施設の敷地に到達するために歩行する距離が『100m以内』であることと定めています

     しかし、今回明らかになった企業Xによる施設から『350m』離れたところに隔地駐輪場を設置することは明らかに『条例違反』だと考えられます。

     もし、『350m』離れたところに隔地駐輪場を設置するのならば、まず条例を改正する必要があり、現在の条例では認められるものではありません。法的根拠は確認されていないのです。

     また、武蔵野市が『350m』離れたところに隔地駐輪場を設置することを認める行為は、条例を曲解させて企業Xのために意図的に都合の良い解釈をしているとしか考えられません。これは、『裁量権の逸脱、或いは濫用』に当たると考えられます。

     武蔵野市自らが法秩序を乱して『条例違反』をするのと同様の意味を持つとも考えられます。

     本当に大きな問題です。

    《参考:条例及び施行規則(抜粋)》

    条例 第1条 この条例は、本市における自転車等の利用環境の整備、安全利用の促進及び放置防止に関する必要な事を定めることにより、円滑な交通と防災活動を確保し、あわせてまちの景観等の向上を図り、もって安全で快適な市民生活の実現に寄与することを目的とする。

    施行規則 第2条 第2項 条例第8条第1項に規定する「その周辺」とは、当該施設の敷地に到達するために歩行する距離がおおむね100メートル以内である場所をいう。

    (注)条例第8条第1項では、「…(中略)…当該施設若しくは敷地内、又はその周辺に自転車等駐車場を設置し、自転車等の整理をしなければならない。」と定められています。

     新たに発覚した2つの問題。これらは、武蔵野市が貴重な市有地であった駐輪場を企業Xに売却したことが間違った判断であることを再認識させられるものとなりました。


    4.右肩上がりに増加し続ける物件費~委託費は高止まり。物件費削減は必至!一時的な要因かどうか注視が必要!

     図表6は、2010年度以降の物件費の推移を示していますが、この物件費は右肩上がりに増加しています。具体的には、2010年度の物件費は126.5億円でしたが、2021年度(令和3年度)の物件費は171.5億円と45億円も増加しました。

     その要因は、外郭団体などの外部機関への委託費が増加しているためです。武蔵野市の外郭団体数は14あり、多額の税金が投入され続けてきました。そして、外郭団体における職員の昇給などによる人件費増加分を税金で負担してきたことがこの委託費増加の主因となっています。

    ■図表6:物件費の推移(内訳として委託費(除くコロナ関連)、委託費(コロナ関連)、委託費以外)

     2021年度(令和3年度)についてみてみると、その特徴は、
     ①物件費自体は前年度対比で11億円増加
     ②ただし、コロナ関連の委託費が16億円計上されていてその影響が大きい
     ③物件費増加の主因となった委託費(除くコロナ関連)は若干の減少(青色の棒グラフ部分)
     ④委託費以外の物件費は例年40億円程度だが、令和3年度は3億円程度少ない37.7億円となった(緑色の棒グラフ部分)
     ⑤物件費(コロナ関連を除く)のうち、委託費(コロナ関連を除く)が占める割合は76%に上昇
    が挙げられます。

     多額の税金が投入されていて、かつ、右肩上がりに増加してきた委託費ですが、上記③のとおり2021年度(令和3年度)のコロナ関連を除いた委託費は若干の減少となりました。

     この先注目されるのは、
    ・委託費(除くコロナ関連)で見られた変化に対して、この先は再び増加に転じるのか、或いは、減少傾向に転じるのかということ
    ・委託費以外の物件費は例年40億円程度のところが37億円台となったが、これが一時的なものなのか、このまま減少したまま推移するのかどうかということ
    と考えています。

     いずれにせよ、図表7で確認できるように、他の自治体よりも圧倒的に多額の税金を投入している武蔵野市の『委託費』を含めた物件費の動向には注視が必要です。

    ■図表7:物件費の推移(武蔵野市、三鷹市、小金井市、西東京市)

     上記1でお知らせしたように、武蔵野市において、物価上昇による財政的な負担が増えていくのは誰の目にも明らかなこととなっています。

     執行部の方々には、当然、これ以上物件費が増加しないような市政運営をお願いしたいと思います。





     

     以上、第3回定例会において議論されたテーマのうち、特に重要であると感じた4点についてご報告しました。

    これからも未来の武蔵野市を見据えた市政運営が行われるよう、議会にて活動すると同時に、市民の皆様へ武蔵野市政の問題点をお知らせできるように情報発信してまいります。

     なお、一部の方から、市政以外の柔らかいテーマもブログで書いてみたら、というお声もいただきました。タイミングを見て、どちらかというとプライベートに近い内容のブログも今後お知らせしたいと思います。よろしくお願いいたします。

    武蔵野市議会議員 小林まさよし
    武蔵野市議会議員 小林まさよし

  • 武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点:その②~武蔵野市の人口推計の推計方法と問題点

     令和4年9月7日の総務委員会において、武蔵野市の将来人口推計(以下「人口推計」)の速報版が公表されました。

     その人口推計は、現在14.8万人の《武蔵野市の人口》が右肩上がりに増加して、2052年には16.1万人(現在より+1.3万人増)になると推計しています。

    ■図表1:日本と武蔵野市の将来人口推計(筆者作成)

     この件については、第一弾として『武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点:その①~人口推計の重要性とその特徴』(ご覧いただく場合は←をクリックください)にて、将来人口推計の重要性や特徴について、また、将来人口推計に関する10の疑問のうち、4つの疑問と合わせてお知らせしました。

     今回は、第二弾として、
     ・武蔵野市の人口推計方法と人口増加要因
     ・武蔵野市の人口推計の問題点
    について、残りの6つの疑問と合わせて、下記にてお知らせいたします。


    1.武蔵野市の将来人口推計はどのような方法で行われているのか?

    (1)コーホート式による推定~直近5年間の傾向が30年間続く前提で推計される

      以下の図表2は、令和4年9月に武蔵野市が公表した速報版の将来人口推計のグラフですが、武蔵野市が用いている将来人口推計方法はコーホート式と言われるものです。

     特徴は、出生、死亡、移動(転出入)などについて直近5年間(趨勢期間)の傾向が推定する期間(30年間)にわたって継続するという前提で推計されることにあります。

     この「コーホート式」に従って、武蔵野市は、2052年に人口が現在よりも1.3万人増加して16.1万人になると推計したと速報ベースで公表したのです…

    ~疑問点その5:出生、死亡、移動(転出入)の直近5年間の傾向が、今後30年間、継続するのでしょうか?~

    ■図表2:将来人口

    (2)人口増加(変動)の要因~毎年、市内人口の8%が転入者。転入者の多さが人口増加に大きな影響を与える

     図表3は、武蔵野市の人口動態の推移です。人口の増減については、
    出生数から亡くなった人の数を引いた「自然増減」
    転入した人口数から転出した人口数を引いた「社会増減」
    に分類されることがありますが、図表2からは、「自然増減」よりも「社会増減」の方が市内の人口数に大きな影響を与えることが確認できます。

     また、社会増減について、武蔵野市では毎年、人口の一部は
     ・8%超の転入者
     ・8%弱の転出者
    で構成されていることが確認されますが、市内の人口増加の最大の要因は、
     ・転入者数が多いことから転入出者数(社会増減)が多くなったこと
    が図表2からわかります。

    ■図表3:人口動態の推移(出所:武蔵野市)

    (3)純移動率を用いて推計するのは適正といえるのか?

     図表4は、武蔵野市が公表した年齢別・性別別の「純移動率」(*)ですが、この図表からは、
    18歳から20代後半の人口の流入超という傾向
    子育て世代のファミリー層が引っ越してきた傾向
    が確認されます。

     (*)「純移動率」とは、転入した人口数から転出した人口数を引いたものを武蔵野市の人口で割ったものです。

    ■図表4:年齢別性別別の純移動率(出所:武蔵野市)

     ②のファミリー層の引っ越しは、低金利下、住宅ローン減税などによって子育て世代が新しく建築されたマンションに引っ越してきたことによるとされています。

     この「純移動率」という指標を用いて将来人口推計を推計するのは、適正と言えるのでしょうか?後述しますが、私は、武蔵野市のような移動(転出入)が人口に大きな影響を与える地方自治体が、上記の「純移動率」を用いて「人口推計」を算出することは不正確な結果をもたらすと考えています。

      ~疑問点その6:この先30年間、18歳から20代後半やファミリー層がこれまでの5年間と同じ水準で、武蔵野市に継続的に引っ越してくるのでしょうか?~


    2.武蔵野市の将来人口推計の問題点①~織り込まれていない経済前提等

     上述したように、2017年から5年間の傾向が30年間続くというこの推計方法(「コーホート式」)では出生、死亡、移動(転出入)のデータが推計するために用いられます。一方、経済指標などは用いられていません

     このことを言い換えると、今回の速報版(令和4年9月7日公表)では、2017年初から2021年末までの5年間の経済状況等が2052年まで継続することになります。

     武蔵野市の将来人口推計についてコンサルティングを担当しているのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(以下、MUFJコンサル)です。

    (1)住宅着工件数の中長期予想について~2040年には現在より40%減少する見通し

     しかし、このMUFJコンサルは中長期経済見通しを公表していて、図表5の通り、首都圏の住宅着工の見通しは現在の33万戸程度の水準から、2040年には▲40%減少して18万戸程度になると予想しています。

     住宅着工件数が減少すれば、武蔵野市にこれまで通り引っ越してくる転入者数も減少すると考えられます。

    ~疑問点その7:少子高齢化が進む中では、この見通しの通り、武蔵野市においても住宅着工件数は減少すると予想されます。転入者も減少するのではないでしょうか~

    ■図表5:首都圏の住宅着工の見通し(出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

    (2)長期金利の中長期予想について~2030年に0.7%まで上昇する見通し

     また、MUFJコンサルは「2017年からの5年間は0%近辺にあった長期金利は、今後上昇に転じて、2030年には0.7%になる」と予想しています(図表6)。

     長期金利は上昇する見通しであるにもかかわらず、武蔵野市の「人口推計」においては、2017年から5年間の傾向である0%近辺で推移した長期金利の水準が、2052年まで継続するという前提に立っています。

     金利が上昇したら、金利負担が増加することから住宅ローンを借りて住宅を購入する人は減少すると考えられます。

    ~疑問点その8:金利が上昇したら、直近5年間と比べて住宅を購入する人は減少するのではないでしょうか?~

    ■図表6:長期金利見通し(出所:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

      

     上述した通り、武蔵野市の人口は現在14.8万人ですが、そのうちの8%超が転入、約8%転出という状況です。

     移動(転出入)が人口変動に大きな影響を与える武蔵野市においては、このような経済前提の見通しを織り込まないと、正確な「人口推計」を推計できないと考えられます。

    ~疑問点その9:現在の経済前提が30年間続くという前提で人口を推定してよいのでしょうか?~


    3.武蔵野市の人口推計の問題点②~人口の移転率の母数が武蔵野市の人口では不正確な人口推計となってしまう

     武蔵野市の「人口推計」の算出におけるもう一つの問題は、日本全体の人口減少が織り込まれていないことです。日本全体の人口が減少していることを織り込まずに、武蔵野市の人口、出生数、死亡者数、転出入者数で推計値を算出しており、その結果として武蔵野市の人口推計をミスリードしているのです。

     図表4で「純移転率」をご紹介しましたが、この「純移転率」とは転入した人と転出した人の差を武蔵野市の人口で割って算出したものです。

     例えば、武蔵野市に転入してきた20歳の女性が30人、転出した20歳の女性が27人として、その差の3人が住み続けるという傾向があったと仮定します。20歳の女性の総人数が2000人とすると、純移転率は0.15%となります(3人÷2000人)。

     武蔵野市が人口推計で用いるコーホート式では、20歳の女性の純移転率は0.15として2052年まで続くとします。しかし、この算出方法は正しいでしょうか?

    ■図表7:年齢別性別別の純移動率(出所:武蔵野市)*再掲

     私は、転入する人と転出する人の差を「武蔵野市の人口」で割って算出された「純移転率」を用いるこの算出方法に問題があると考えています。

     なぜならば、武蔵野市から転出する人を武蔵野市の人口に対して推計していくことには問題ありませんが、武蔵野市に転入する人は武蔵野市から転入するわけではなく、「全国から転入」してくるからです。「全国の人口」を母数にしてその変動を加味して推計しなければ正確な転入者数の推計となりません

     従って、本来は、純移転率とするのではなく、
     ・転出率(分子を転出した人数、分母を武蔵野市の人口)
     ・転入率(分子を転入した人数、分母を全国の人口)
    を用いて、転出する人数と転入する人数をそれぞれ算出してから全体の人口推計を行っていく必要があると考えられます。

     武蔵野市のような転入者や転出者の多い自治体で「純移転率」のみを用いた場合、この5年間の傾向のみを反映することで、人口推計を右肩上がりに増加させてしまうのです。

     これでは、武蔵野市の『将来人口推計』が不正確なものとなってしまい、未来の市政に大きな影響を及ぼしてしまいます。

    ~疑問点その10:転入者数の推計に当たっては、武蔵野市の人口ではなく、全国の人口数を母数にして算出しないと不正確な推計値になるのではないでしょうか?~


    4. 結論~不正確でミスリードを招く現在の推定方法の抜本的な見直しを!

     令和4年9月の総務委員会で報告された人口推計の速報版は、日本や東京都の傾向と異なり、武蔵野市の人口は右肩上がりに増加し続けて2052年に16.2万人(現在+1.4万人)になるというものでした。

     しかしながら、この人口推計は、

    2017年初から2021年末までの5年間の傾向が2052年までの30年間継続するという前提で推計

    されており、

     ・この先30年間の住宅着工件数や金利動向などの経済前提
     ・日本全体の人口減少の傾向

    が織り込まれていません。

     武蔵野市のデータだけで人口推計を行うことは明らかに不正確であり、武蔵野市の未来をミスリードするものと考えられます。

     私は、

    ・現在の推計方法を継続するにしても経済前提を織り込むことや転入者の母数を日本全体とした転入率を用いる

    ・現在の推計方法ではなく、東京都推計の武蔵野市の人口推計を何らかの方法で補正したものを人口推計とする

    などのように、推計方法を抜本的に見直す必要があると考えています。

     武蔵野市の執行部には、武蔵野市の未来に危機感を持って、ミスリードすることのない将来人口を推計していただくことを切望いたします。

    ■図表8:日本と武蔵野市の将来人口推計(筆者作成)*再掲

    武蔵野市議会議員 小林まさよし


  • 武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点:その①~人口推計の重要性とその特徴

     令和4年9月7日の総務委員会において、武蔵野市の将来人口推計(以下「人口推計」)の速報版が公表されました。

     その人口推計は、現在14.8万人の《武蔵野市の人口》が右肩上がりに増加して、2052年には16.1万人(現在より+1.3万人増)になると推計しています。

     一方、《日本全体の人口》を見てみると、現在の1億2550万2千人が2053年には1億人を割る試算されています。

     少子高齢化・人口減少が進む中で、本当に武蔵野市の人口は増加するのでしょうか。皆様はどのように予想されますか

     私は武蔵野市の人口が、市の「人口推計」のように増加するとは予想できません。市民の多くの方から、『ありえない!楽観的過ぎる』『見通しより少なくなったらどうなるのか?だれが責任を取るのか?』などのご意見をいただいています。

     この「人口推計」は抜本的に見直す必要があると考えています。

    ■図表1:日本と武蔵野市の将来人口推計(筆者作成)

       
     今回は、『武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点』の第一弾として、
    ・武蔵野市の人口推計の重要性
    ・国や東京都の推計値と比較した武蔵野市の人口推計の特徴
    についてお知らせいたします。
    (10の疑問のうち、今回は4つの疑問までとなります。)
     


    1.平成30年公表の将来人口推計

     上述した「人口推計」は4年ごとに見直されることになっており、今年度に公表予定の「人口推計」の速報版です。現時点では、2018年に公開された「人口推計」が公式な推計結果ですが、これにおいても、武蔵野市の人口は右肩上がりに増加して、2048年に16.2万人になるという見通しとなっています。

    ■図表2:平成30年公表の武蔵野市の人口推計(出所:武蔵野市)

    ~疑問点その1:武蔵野市の人口は右肩上がりに増加し続けるのでしょうか?~


    2.「将来人口推計」はなぜ重要か?

     この「人口推計」は、武蔵野市の長期計画などを策定するに当たり、基礎データとしてとても重要なものです。

     例えば、 図表3は、「第6期長期計画」において、平成30年公表の「人口推計」に基づいて算出された長期財政シミュレーションです。上述したように「人口推計」は右肩上がりに増加する予想に基づいて税収などが試算され、2049年度までの財政状況を予想しています。

     その長期財政シミュレーションの特徴は、右肩上がりに増加する人口に基づく税収見込みをベースにしても2047年度に財源不足になることです。
    (「人口推計」がこの見通しを下回って少ない人口数となった場合には、2047年以前に財源不足になると予想されます。)

    ■図表3:長期財政シミュレーション(出所:武蔵野市)

     また、小・中学校、保育園などのような公共施設等の建設計画においても、この「人口推計」のデータが用いられます。

     平成30年公表の「人口推計」によって策定された「第2期公共施設等総合管理計画」では、市民一人当たりの床面積を2.08㎡に抑えるとしながらも、武蔵野市における公共施設等の再整備費用に30年間で2,966億円もの多額の税金を投入する必要があるとしています。

    ■図表4:公共施設等の維持管理・更新等の係る中長期な経費の見込みと充当可能な財源見込みの比較(出所:武蔵野市)

     財政シミュレーションにしても、公共施設等の建設計画にしても将来の実際の人口がこの「人口推計」より少なくなったら、市民の皆様の負担が増えることは間違いありません。

     以上のように、武蔵野市の人口推計は、長期の市政運営に大きな影響をもたらすとても重要なデータであり、この人口推計の通りにならなければ、財政的にも大きな影響を及ぼすことになります。

    ~疑問点その2:実際の人口が市の人口推計よりも減少した場合、未来の財政的な負担は大きくなります。その責任は一体誰が取るのでしょうか?~

    疑問点その3:建設費用は現在、2021年当初よりも2割上昇。30年間で2966億円を必要とする再整備費用が増加すると予想されます。人口増加という楽観的な見通しで武蔵野市の未来は大丈夫でしょうか?~


    3. 国ならびに東京都の将来人口推計はどのような推計値か?

    図表5は、2020年の人口を100とした場合の
    ① 〈武蔵野市〉が推計した《武蔵野市》の人口推計(令和4年9月に報告された速報版)
    ② 〈東京都〉が推計した《武蔵野市》の人口推計(*)
    ③ 〈東京都〉が推計した《東京都》の人口推計(*)
    ④ 〈国立社会保障・人口問題研究所〉が推計した2050年までの《日本全体》の人口推計
    となっています。
    (*) ②と③については2045年、2050年の推計値がないため、2035~2040年の変化率を2045年と2050年に織り込んだものを参考データとして試算しました。

    ■図表5:日本、東京都、武蔵野市の人口推計(2020年を100とした場合)

    このデータから分かることは以下の(ア)~(エ)の4点です。

    (ア)武蔵野市推計の武蔵野市の人口推計(①)は、他の推計と異なり、唯一2050年において人口増加。2020年を100とした場合に2050年において109.3まで増加する。

    (イ)日本の人口推計(④)は、右肩下がりに減少。2020年対比で2050年には20%近く減少する。

    (ウ)東京都の人口推計(③)は、2035年に2020年の水準より減少。2050年には、2020年より人口は7.5%減少する。

    (エ)東京都推計の武蔵野市の人口推計(②)は、2040年に2020年の水準より人口は減少。2020年を100とした時に2050年は95.4となり、現在より8千人少ない14.0万人となる。

     このように、武蔵野市の人口推計(①)だけが人口が増加するとしています。

     しかしながら、将来は減少するという日本や東京都の人口推計を見る限り、武蔵野市の将来人口推計について納得感があるのは、2050年に武蔵野市の人口が上記の(エ)にある通り14.0万人程度になるというものです。

     もし、2050年の人口が武蔵野市の将来人口推計の通り(16.0万人)ならずに14.0万人となったら、税収がは減る一方で、過剰に整備する公共施設等の費用が大きくなることで、未来において市民の皆様に財政的な負担を強いることになると考えられます。

    ~疑問点その4:武蔵野市だけが人口増加するということがあるのでしょうか?推計通りにならなければ市民の皆様の負担が増えることになってしまいます~


     『武蔵野市の将来人口推計における10の疑問点』に関する第一弾として、「武蔵野市の人口推計の重要性」や「国や東京都の推計値と比較した武蔵野市の人口推計の特徴」をご覧いただきありがとうございました。

     武蔵野市の長期的な市政運営はこの右肩上がりの人口推計に基づいて行われます。

     皆様は、このような推計値でよいとお考えになりますか?武蔵野市の未来が大丈夫かという不安の気持ちを持ちませんか?

     私は、不安の気持ちでいっぱいです。現市政には、未来に対する『強い責任』と『危機感』が必要です。

     第二弾では、この人口推計の算出方法と問題点などについてお知らせしたいと思います。近日中にお知らせしますので、そちらもご覧ください。

    武蔵野市議会議員 小林まさよし