駐輪場売却問題①~二つの取引の概要と主な経緯


 駐輪場売却に関する取引について、もっと詳しく知りたいというご要望をたくさん頂きました。
 そこでチラシとともに本ブログでも情報を発信していきたいと思います。

 ただし、内容が多くかつ複雑であることから、数回に分けたシリーズにして、お知らせいたします。

 一回目の投稿は、「土地取引の概要と主な経緯」についてです。


1.2つの土地取引

 武蔵野市は、駐輪場売却に関連して、下記の《吉祥寺駅 駐輪場近辺地図》にあるA土地とB土地についての2つの取引を行いました。

 1つ目の取引は、吉祥寺大通り東自転車駐車場(B土地)を C土地を所有する企業Xに 「随意契約」で代替地として売却したことです。
 そして、もう1つは、消防団第2分団の隣地にあった旧青山外科跡地(A土地)を企業Xから購入したことです。


 市は、『交換的手法』で2つの取引を行ったと説明しています。
 (*)そもそも駅に近い駐輪場(B土地)を売却してまでA土地を購入するという必要性があったのでしょうか?A土地では新しく駐輪場を建設する予定としています。

(*)C土地には、ラーメン店「一風堂」さんが入っていたビルがありました。

 


2.主な経緯:平成30年6月~令和3年10月

この土地取引を時系列に沿って整理すると、以下の通りとなります。

(1)平成30629
企業X「C土地」を購入。「C土地」は、駐輪場(B土地)の隣の土地です。その後、市に対して「B土地とC土地」との『共同化』を提案。武蔵野市は『共同化』の提案を断った
この取引が、問題発生の始まり。
(*)共同化とは、複数の権利者が建物を一体的に整備・利用することをいいます。


(2) 令和元年5月30日
 企業Xは、『共同化』を市に断られた後、「A土地」を購入。(1)から1年後の話。


(3) 令和2年9月頃
 は、「A土地とB土地」の『交換的手法』による取引について企業Xに相談。(2)から1年4か月後。この間、市は企業Xに接触はしていないと答弁。

(4) 令和2年10月6日
 庁内に部長以下の検討会議(吉祥寺東部地区市有地等利活用検討会)を設置。A土地の「購入」とB土地の「売却」を検討


(5) 令和3年4月28日
 経営会議にて「土地の取得等について」を決定
 (*)「経営会議」とは、市長、副市長、総合政策部長、総務部長、財務部長で構成される会議です。


(6) 令和3年5月17日
 市議会へ報告。(賛否が問われたものではない)


(7) 令和3年8月27日
 土地売買契約を締結、企業Xから消防団第2分団の隣地であるA土地を「購入」


(8) 令和3年9月16日
 吉祥寺本町1丁目在住の市民を中心にした『駐輪場売却反対に関する陳情(「吉祥寺大通り東自転車駐車場用地売却反対及び東部地区の活性化のための計画推進に関する陳情」)』が提出される。


(9) 令和3年10月27日
 市は「市民説明会」を開催


(10) 令和3年10月28日
 「市民説明会」の翌日随意契約にてB土地の「売却」について企業Xと契約


3.この取引の間に何が起きたのか!?

(1) 企業Xの目的
 企業Xは、「C土地」を購入した後、奥行がわずか6.4mで壁のようなビルしか建てられなかったため、資産価値向上のために市に「B土地」との『共同化』による一体開発を提案したと推察されます。


(2) A土地とB土地の交換
 市が断ると、「なぜか」企業Xが「A土地」を購入し、いつの間にか、市から接触して『A土地とB土地の交換』の話が進んでいくこととなりました。


(3) 市が交換を決定してA土地を購入
 経営会議にて「土地取得等について」決定し、令和3年8月27日、『交換的手法』を前提として、企業XからA土地を購入しました。この時、実質的には「B土地の売却が決定」されたことになります。


(4) 市民への報告は『実質ゼロ』、議会への報告は1回のみ
令和3年10月27日に「市民説明会」が開催されました。ただし、市は既に交換的手法でA土地を購入していたことから、実質的には「市民説明会」ではなく『事後報告会』でした。なお、この「市民説明会」に使われた会場は午後10時まで使用が可能でした。しかし、松下市長は午後8時までしか使用できないと『虚偽』の発言。市民からの質問が残る状態であったにもかかわらず、実質1時間で打ち切り、足早に説明会の場を去っていきました
議会に対しては賛否を問うものではなく、令和3年5月17日に報告が一度行われたのみでした。また、議会には相談することなく、相談前の令和3年4月に意思決定されています。貴重な土地で、駐輪場として使っていた行政財産を、市民にも議会にも相談することなく、意思決定しました。

5 「市民説明会」の翌日の「売却」
市民説明会では、「売却」については『協議中』であると説明していましたが、その説明会の翌日、市民へ説明することなく、駐輪場は「売却されました。「市民説明会」で市長が述べた「協議」について後日確認したところ、「いつ売却するかを協議していた」ということでした。また、市民からの売却に反対する『陳情』が議会において議論されている最中でした。市民の皆様を軽視した、あってはならない『行政行為』だったと考えられます。

(6)『違法』な行政行為
 本来、市の財産は競争入札にて売払われるものですが、『随意契約で代替地』として売払われました。この点については、『違法』な行政行為と考えられます。


(7) B土地を入手して満足する企業X、貴重な土地を失った武蔵野市民
 そもそもは『共同化』を提案した企業Xですが、「B土地を購入」できたことで、単独で一体開発することが可能となりました。大きく資産価値を向上させることができたという点において、企業Xにとっては非常に満足する取引であったと考えられます。
 一方、市民にとっては2度と手に入らない貴重な一等地を失い、さらに駐輪場としての機能がなくなったという、大きな損失を被ることになってしまいました。  


  
 以上が、主な経緯に関連する情報です。

 この取引について、土屋正忠元市長が請求人の一人として起こされた住民請求の「住民監査請求書」には、
 

・手続きにおいても隠密裏に進められた。
・市民の税金で購入した超一等地を隣地に売却するなどの記述は市報に一度も記載されず、市民に周知されることがなかった
・情報公開と政策段階からの市民参加をうたった武蔵野市自治基本条例の各条にわたり、根本的に違反するものである。
・甲がこの上記条例に誠実に向かい合い、早い段階で市議会や市民に土地売却等の情報公開を実施していれば、市民の英知が反映され、損害発生が防げたものと思われる。
・甲の政治姿勢に強い疑問を抱かざるを得ない。
 (*)甲は松下市長。


と書かれています。

 私も、上記にある通り、隠密裏に進めることなく、市民の皆様や議会と情報共有していれば、このような問題が生じなかったと思います。


 住民投票条例も、この駐輪場売却問題も、『市民軽視で一部の人間に都合がよい市政運営の結果』であると考えられます。


 このような市政運営を変えていかなければなりませんが、先日行われた議会や委員会をみると、聞く姿勢を持たない状況については、残念ですが変化がありませんでした・・・
 


 
 吉祥寺駅北口駐輪場売却問題における「2つの取引」について、ご理解いただけたでしょうか。

 この件には、上記以外にも様々な問題があります。今後のブログにて、順次お知らせしていきます。

 引き続き、よろしくお願いいたします。