武蔵野市の財政の特徴②~武蔵野市は公共施設の床面積が多い!建設費高騰の影響も受けて財政を大きく圧迫!


いつもお世話になっております。
武蔵野市議会議員の小林まさよしです。

武蔵野市の財政に関連した特徴①として、『圧倒的に財政的に豊かな自治体』についてご報告いたしましたが、多くの方から「市の財政運営は問題があると考えられ、行財政改革は必要だ」という主旨の返信を頂きました。ありがとうございました。

また、ご意見の中には、『行財政改革』について市民と勉強会を行って市民と一緒に執行部に働きかけるのはどうかという話もありました。

議会内外での積極的な情報発信によって周知・啓発を行っていきたいと思いますが、市民の皆様と協働によってこの問題に対処していくことも有効な手段だと考えています。その際にはご相談させていただきたいと思いますが、ご協力よろしくお願いします。

さて、今回は、武蔵野市の特徴②として、「武蔵野市は公共施設の床面積が多い!建設費高騰の影響も受けて財政を大きく圧迫!」について以下の通り、お知らせします。


【武蔵野市の財政の特徴②~武蔵野市は公共施設の床面積が多い!建設費高騰の影響も受けて財政を大きく圧迫!】

1.武蔵野市の公共施設の床面積の状況~近隣自治体の1.4倍もの床面積!

 武蔵野市の公共施設等の床面積は、令和4年1月1日時点で約30.2万㎡あると報告されています。市民一人当たりにすると2.04㎡になります。 

 この武蔵野市の市民一人当たり床面積の状況を近隣自治体と比較すると以下の表の通りになりますが、近隣自治体が1.5㎡前後です。従って、武蔵野市は近隣自治体よりも1.4倍も多くの公共施設等の床面積を保有していることになります。 

 現在、ウクライナへの軍事侵攻に伴う資材不足や円安の影響、そして、人手不足で建設費は大きく高騰しており、議会においても、執行部は「高騰前の想定よりも建設費は1.5倍程度に増加する見通し」という答弁を繰り返しています。 

 そもそも他の自治体よりも多くの公共施設等を保有していることから、多額の税金を今後の老朽化に伴う立て直しや改修に係る費用として投入しなければならない状態にあるのですが、更に建設費高騰の影響を近隣自治体よりも大きく受けることになります。武蔵野市では、公共施設等の再整備について将来的に財政的な負担が大きく増加する構造となっています。

【市民一人当たり公共施設等床面積の状況】

2.武蔵野市の公共施設等の再整備費用はこの先30年間で『4500億円』!?これまでの再整備費用から『倍増』する見込み!

 武蔵野市の公共施設等の再整備費用はいくらになるかということですが、

・平成29年2月に公表された第1期公共施設等再整備計画
 (以下、「第1期計画」とします)
・平成4年3月に公表された第2期公共施設等再整備計画
 (以下、「第2期計画」とします。)

において、ともに30年間で見込まれた再整備費用の総額は『約3000億円』とされていました。年平均は「100億円」となります。武蔵野市の一般会計の予算規模が700億円から800億円であることからすると、多額の費用が掛かることは間違いありませんでした。 

 しかし、直近の市の答弁はこの時期の想定よりも1.5倍程度増加しているということから考えると、この先30年間の再整備費用は『4500億円』を前提とするのが妥当だと考えられます。年平均では「150億円」になり、一般会計の20%を占める状況になります。

【公共施設等再整備費用の以前の見通しと現状の見通し】

 公共施設等の建設費用を会計上は「投資的経費」というのですが、武蔵野市の「投資的経費」は平成22年度から令和4年度までの平均値が「72.5億円」となっています。これがこの先、倍増して毎年「150億円」も必要になる状況になります。これまでとの差額は75億円以上となるわけですが、この財源をどのように確保するのかという問題が生じます。これまで蓄えてきた基金の取り崩しや市債の発行による対応が想定されますが、いずれにせよ、今後老朽化した公共施設等を立て直すためなどに、近隣自治体よりも『多額の税金を投入』することで『大きな財政的な負担』が生じることになるのは間違いがありません。

 ちなみに、平成22年度から令和4年度まで武蔵野市の市民一人当たりの投資的経費は「約5.2万円」であり、三鷹市は「約3.4万円」と計算されます。武蔵野市は三鷹市の「1.5倍以上」の税金を公共施設等の建設費用・再整備費用として投入してきたということになります。武蔵野市の人口を14.8万人とすると、毎年『約27億円』(=(5.2万円‐3.4万円)×14.8万人)もの多額の税金を三鷹市よりも多く投入したことになります。

【これまでの投資的経費の実績と今後の投資的経費の想定額】

3.武蔵野市の第2期公共施設等総合管理計画は床面積を『増やす方針』へ変更!他の自治体は『縮減』するという方針!

 ところで、この武蔵野市の公共施設等総合管理計画は、 ①平成29年に公表された第1期計画では、床面積を『縮減』する方針を打ち出していました ②しかし、松下市政において令和4年に公表された第2期計画では、市民一人当たり床面積を現在の2.04㎡から2.08㎡に『増やす』という方針に変更したということが特徴として挙げられます。

 他の自治体はどうしているのか、という点について調べてみましたが、他の自治体は現在の床面積を維持することは不可能と言及したうえで、公共施設の床面積について、八王子市は20%、立川市も20%、小平市も20%、青梅市は30%縮減』するとし、府中市は3.6万㎡の床面積の『縮減』という目標を設定しています。

 一方、床面積を「増やす方針」を計画にて設定しているのは、唯一、武蔵野市だけです。個人的には、「横ばい」ならまだしも、「増やす」とした市の考えが理解できません。当時の松下市長の方針だと思いますが、武蔵野市の未来のことを真剣に考えていたら「増やす」ということにはならなかったと考えます。

4.『縮減』すると他の自治体は強い『危機感』を持っている!武蔵野市の未来のためには『行財政改革』の一環として『縮減』の議論は避けられない!

 縮減しようとしている自治体は、 
・公共施設の老朽化が進む中で 
・人口減少や少子高齢化が想定されている状態で税収が減少し 
・更に昨今の建設費高騰で財源不足が顕著になること
にに強い『危機感』を持ち、『縮減』に向けた取り組みを図るとしています。

 その取り組みについては以下の表にまとめてみましたが、
・削減目標を設定
・エリアマネジメントを行う
・長寿命化・集約化
・学校を軸とした街づくり
・民間活力の活用
を行うというものです。 

【床面積の縮減に向けた各自治体の主な取り組み】

 様々な市民の方が関わっている公共施設等について、その床面積を『縮減』するというのは簡単に割り切れるものでもなく、非常に心苦しいところではあります。しかし、現状の武蔵野市の床面積の大きさとその再整備等に係る財政負担のことを考えると、武蔵野市民の生命と財産を守るためには、『行財政改革』の一環として、公共施設等の床面積を『縮減』することについて検討していくことは避けてはならないと思います。 

 ただし、各自治体の計画で言及された留意事項には、「市民との情報共有・意見交換」、「再整備を議論する体制」、「提供するサービスの優先度」などが挙げられています。

 極めて難しい対応になりますが、市民の皆様に武蔵野市の財政状況や公共施設等の状況を示して共有・ご理解いただき、『優先順位等』を踏まえて、『縮減』についてどう考えるのかなどについて市民の皆様の声を丁寧に聞きながら『縮減』するかしないかなどを含めた公共施設等再整備の方針について、一日も早く方針を決定していく必要があると考えられます。

 できるだけの多くの市民が同じ方向を向き、健全で魅力ある武蔵野市をつくり上げるために、思想関係なく執行部も議会(議員)も真剣に向き合わなければならない重要な問題だと思います。


 以上、武蔵野市の財政の特徴②として、「武蔵野市は公共施設の床面積が多く建設費高騰の影響もうけて財政を大きく圧迫!」についてお知らせしました。

 長文にも拘らず、最後までご覧いただきありがとうございます。


 この財政関連についてシリーズで今後もお知らせする予定ではありますが、東京都知事選挙期間に入ることから、控える方が無難という選挙管理委員会の意見もあり、今後のお知らせは都知事選挙以降になると思われます。

 引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

武蔵野市議会議員
小林まさよし