建設費2割高騰による武蔵野市財政の影響~保健センター増築関連計画を含めた公共施設等の建設計画を見直す必要はないのか⁉


1.保健センター増築に関連した計画について開催された全員協議会

 2022年8月16日に、保健センター増築に関しての「全員協議会」が開催されました。

 この場は、各議員が武蔵野市策定の『武蔵野市立保健センター増築及び複合施設整備基本計画(案)』について市(執行部)説明を受けて、出席議員が質疑をするものでした。

 この保健センター増築に関連する計画(案)は、総事業費が40億円という多額の税金を投入して現在の保健センター(4500㎡)と同規模の4500㎡の建物を建設するという2022年2月に提出された『武蔵野市立保健センター増築及び複合施設整備基本計画(素案)』に基づくものとなっています。

2.現在の問題点:素案策定時よりも建設費は2割高騰!

 全員協議会では、さまざまな論点が議論されましたが、私からは、「一般社
団法人建築物価調査会」が作成した建築費指数のグラフ(図表1)を見せたう
えで、現在、円安やロシアのウクライナ侵攻により進んだインフレ(物価上昇)などにより、建設費が高騰していることが、大きな変化であり、計画にも影響を与えるものと指摘いたしました。

 具体的な指摘は、(図表のとおり)2021年初頭と比較して現在は建設費が2割上昇しているのではないかと執行部に質問したことです。素案は2021年初頭の建設費用をベースに総事業費が見積もられているということでした。
 その質問に対する副市長の答弁は、「建設費が2割高騰しているのは事実」ということでした。「建設費は下がることはない」とも発言していました。

 市は、素案で示した総事業費である40億円をベースとして、仕様の見直し等でコスト削減に努めると回答しましたが、
2割の建設費が上昇したことを単純に織り込むと、素案で示された総事業費40億円に対して48億円に増加することになります。

  図表1:建築費指数の推移(2022年7月分) 出所:一般社団法人 建築物価調査会

3.30年間で約2,966億円必要とされる武蔵野市の公共施設等の再整備費用は+600億円の負担増

 武蔵野市が2022年3月に公表した第2期公共施設等総合管理政策によると、武蔵野市がこれまで建築した公共施設等の改修等に係る再整備費用は、この先30年間で、2,966億円の税金を必要とするとされています。多額の税金です。

 しかし、上記2でお知らせした通り、建設費用は2割高騰していますので、この先30年間で必要とする再整備費用は単純計算で3600億円(=2966億円×1.2倍)近くまで増加することになります。

 建設費の高騰により、30年間で公共施設等の再整備のために、これまでより600億円も多くの税金を投入しなければならないほど負担が増加することになります。

4.武蔵野市の公共施設等の規模は近隣自治体の1.4倍

 また、武蔵野市の公共施設等の規模が他の自治体に比べてどのような状況にあるかということを、市民一人当たり床面積で確認すると、以下の表の通りになります(図表2)。

 武蔵野市は計画で市民一人当たり床面積を2.08㎡と示していますが、他の自治体は平均すると大体市民一人当たり床面積は1.5㎡程度となります。

 この数字からは、武蔵野市は近隣自治体や中央線沿線の自治体の1.4倍程度の公共施設等を有していることになります。

図表2:市民一人当たり床面積の状況:近隣自治体比較

武蔵野市
(計画値)

三鷹市 小金井市 西東京市 国立市 国分寺市 小平市
2.08㎡ 1.62㎡ 1.36㎡ 1.52㎡ 1.55㎡ 1.21㎡ 1.61㎡

 公共施設等の必要量は、その自治体の場所、大きさ、人口密度などによっても変わってくると思いますが、武蔵野市の水準は、近隣自治体に近くてよいとも考えられる中、明らかに他の自治体よりも大きなものとなっています。

 人口密度は大きく、面積的に小さな武蔵野市は、本当に他の自治体の1.4倍程度の床面積が必要なのでしょうか?

 いずれにせよ、上記自治体の中で、現在の建設費高騰が、最も財政に悪影響を及ぼすのは、武蔵野市であることは明白です。

 武蔵野市が未来においても、健全な財政状況を維持するためには、現状や公共施設等の建設計画に強い危機感を持ち、慎重に対応するべきではないでしょうか?

 

5.武蔵野市は保健センター増築を含めて公共施設等の建設計画を見直す必要があるのではないか!?

 松下市長は、令和4年度の予算において、「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ くらしと地域を守り育む予算」と位置付けています。


 現在も高騰していている建設費ですが、将来においても、少子高齢化による人手不足や円安トレンドから建設費は高騰する可能性が高いと推察されます。

 楽観視することなく、未来の武蔵野市のために、保健センター増築を含めて公共施設等の建設計画を見直す必要があるのではないでしょうか!?

 私は、これらの建設計画について見直すことが武蔵野市にとって必要だと考えます。

 松下市長のリーダーシップのもとに、現執行部が、武蔵野市の明るい未来を創り上げることを目的に、建設費高騰の問題に真剣に向き合い、未来の武蔵野市のために、これら計画等の在り方について検討し、必要に応じて見直していくことを強く期待します

7.執行部の皆様にお尋ねします

 この先、30年間で3000億円の公共施設等の再整備費用が3600億円に増えても、今の計画のままで、武蔵野市の未来は大丈夫ですか?

 武蔵野市の未来の負担が増えることになりませんか?
 武蔵野市民の皆様の生活に影響を与えることになりませんか?