こんにちは!
先日、令和6年度決算についての定点観測として、歳入の状況についてお知らせしましたが、本日は、【歳出の状況】について、確認されたことをお知らせしたいと思います。
歳出の状況のポイントは以下の通りです。
1.歳入額も過去最高の864億円!
2.主な増加要因は、①委託料の増加、②公共施設再整備費用の増加、③物価高騰対策としての給付金支給事業による増加
3.問題意識~進む高コスト化の財政運営
4.三鷹市よりも市民一人当たり歳出額は14.3万円も大きい!一年間で212億円(14.8万人×14.3万円)も三鷹市よりも多く税金を使っていると計算される
5.新しい評価:5年ぶりに「吉祥寺まちづくり基金」を積み増し(4億円)。小美濃市長の吉祥寺の再整備の意志の表れとして評価
6.新しい懸念事項:市債発行残高の増加と金利上昇がもたらす支払利息の増加(財政負担の増加)
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【歳出のポイント】
<歳出の状況~歳入同様、過去最高額に!>
1.歳出額も歳入に合わせて、右肩上がりに増加し続けてきました。令和6年度は令和5年度対比では102億円と大幅増となり、歳出額総額は過去最高の864億円となりました。

<前年度との変動要因>
2.前年度との主な変動要因を性質別に見ると、以下の通りとなっています。
①物件費:主に外部機関への委託料の増加(+20億円)
②投資的経費:老朽化した公共施設の再整備費用の増加(+67億円)
③扶助費:主に物価高騰対策としての給付金支給事業が増加(+11億円)
<注意事項・問題点~委託料を中心とした物件費の増加や投資的経費の増加による高コスト化が進む>
3-1.注意すべきは上記2のうち、①の物件費の増加と②投資的経費の増加です。
これまでの傾向と変わりはありません。行財政改革により進展する高コスト化を抑制する必要があります。
3-2.①の《右肩上がりに増加する物件費》(下記表ご参照)については、システム構築等費用、クリーンセンター管理運営委託料の増加など物件費のうちの委託料の増加が主因となっています。

武蔵野市の財政運営における構造的な問題の一つは、武蔵野市の外部機関へ委託料が他の自治体よりも大きな水準にあることです。
そして委託料の大きさについては、武蔵野市には外郭団体が14もあるということが影響しています。外郭団体の統廃合についても検討していく必要があります。
また、この委託料には委託先の人件費が含まれるのですが、今後、人手不足やインフレが進めば進むほど、他の自治体よりも武蔵野市の財政負担が増加することなります。
安易に外部に委託することがないようにすることや事務事業の見直しなどによる行財政改革が武蔵野市には求められます。
また、有識者、コンサルティング業者などによる第三者による行財政改革委員会の設置が必要だと考えます。
3-2.②の《投資的経費の増加》についてですが、令和6年度は中学校改築事業、高齢者総合センターなどの工事費増加が影響しました。
武蔵野市の財政における構造的な問題のもう1つは、武蔵野市では老朽化した公共施設の大更新期に入っているのですが、他の自治体よりも公共施設を多く保有するために、老朽化のための再整備費用に多額の税金がかかることに加えて、建設費高騰の影響を大きく受けるというものです。

令和4年3月に公表された第2期公共施設総合管理計画の再整備費用は30年間で3000億円でしたが、直近の公共施設の建設費用と第2期の計画で見込まれた建設費用と比較すると現在は1.5倍以上であることから、計画通りに進めると30年間で4500億円を上回る水準が必要になると試算されます。
将来における財政負担増加がどのように市政に影響するのか懸念されます。
近隣自治体がどのくらい公共施設を持っているかということについてみてみると、上の表のとおり市民一人当たりの床面積で比較すると、武蔵野市は2.08㎡(計画値)と近隣自治体の1.4倍以上と明らかに大きい水準にあります。
老朽化した公共施設の再整備費用が大きく、また、建設費高騰の影響で財政負担が近隣自治体より大きな水準であるということがご認識いただけると思います。
現在、計画されている公共施設の再整備において多額の税金を投入する必要のある、保健センターの増築(35億円)や公会堂(31.5億円)の改修については、市民の皆様との意見交換を踏まえて、方針を決定すべきだと考えます。
下記表は、武蔵野市以外の近隣自治体の公共施設の再整備の状況について、各自治体の公共施設再整備計画の方針等をまとめたものですが、延床面積を縮減するために、例えば、長寿命化・集約化、学校を軸とした街づくりなどを行うとしています。

しかしながら、武蔵野市が令和4年3月に策定した第2期公共施設再整備計画は実質的に床面積を増やすことを容認する計画であり、縮減という方針を打ち出しませんでした。
新たに第3期公共施設再整備計画の策定に向けて、執行部は作業しているということですが、多くの公共施設を保有する武蔵野市において、今後の建設費高騰による公共施設の再整備等に関する財政負担の増加を考慮すると、これまでの公共施設を増やすという計画ではなく、削減するという目標・方針を策定するべきだと私は考えています。
<市民一人当たり歳出額~1年間では三鷹市より212億円も多額の歳出額>
4-1.令和6年度の市民一人当たり歳出額を見てみると、武蔵野市は58.3万円、三鷹市は44.0万円となっています。この差は14.3万円となっていて、市民14.8万人とすると、令和6年度において、武蔵野市は三鷹市よりも212億円(14.8万人×14.3万円)も多くの税金が投入されて行財政運営を行ったということになります。
なお、武蔵野市の市民一人当たり歳出額が三鷹市よりも圧倒的に大きいということと、市民一人当たり歳出額とともに拡大傾向にあるという懸念事項に変わりはありません。(下記表ご参照)
税収が大きくて財政的に全国でもトップ水準にある武蔵野市でありますが、増加傾向にある物件費や1.5倍以上になる見通しの公共施設等の建設費用で高コスト化が進んでいます。また、将来懸念される少子高齢化による税収減や社会保障費の増加を考慮すれば、10年後、20年後を見据えて無駄をなくした行財政改革を推進して将来に備えていく必要があると思料します。

4-2.令和6年度においては、三鷹市よりも1年間212億円も多くの支出をしたことになる武蔵野市ですが、どのような支出が多いのかを性質別にみてみると、以下の表の通りとなります。
その中で差が大きいのは、上記3でご覧いただいたように、物件費(三鷹市対比で+4.6万円)、投資的経費(+5.6万円)となっています。三鷹市との差の212億円のうち、武蔵野市は
・物件費に68億円(決算では193億円計上)
・投資的経費に83億円(決算では124億円計上)
も多額の税金を投入していることになります。

<その他:5年ぶり!吉祥寺まちづくり基金を4億円積み増し!>
5-1.その他の中で特筆すべきは、私がこれまで議会で「吉祥寺の街づくりを推進するために必要なもの」として積み立てを要望してきた「吉祥寺まちづくり基金」が、今回4億円積み増された点であり、評価できると考えています。
この基金は松下市長時代以降、積み増しが行われなくなっていましたが、今回5年ぶりに再開されたことになります。これは、小美濃市長が吉祥寺の街づくりを推進していくという強い意志の表れであると受け止めています。

5-2.武蔵野市は今後、市債を発行(借金)して学校の建替えなどの公共施設の再整備を行っていく予定です。令和6年度の市債残高は約19億円増加して119億円になりました。
新しい懸念事項の一つは、今後、①金利上昇、②残高の増加による支払利息の増加が財政を圧迫することです。。

だいぶ過ごしやすくなってまいりましたが、季節の変わり目ですので、どうぞお体にお気をつけてお過ごしください。
以 上
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乱筆乱文をご容赦願います。
引き続き、よろしくお願いします。
武蔵野市議会議員
小林まさよし















